新型肺炎にうんざりし、ほかの重要な出来事について知りたい人のために。
3月1日にNHKがネット同時配信を開始した。ニックネームは「NHKプラス」。総務大臣から規模縮小を命じられるなど紆余曲折があったが、やっと始まった。
これを契機にNHKは「放送ガイドライン」を改正した。新しい「放送ガイドライン」は「インターネットガイドライン」との統合版で、NHKを律する基本事項(放送に携わる一人ひとりが日々の仕事にあたるための判断の指針)が記載されている。
重要なのは、「3 インターネットでの情報発信」「2 コンテンツ提供のルール」である。そこには次のように書かれている。
視覚、聴覚に障害がある人、高齢者、在留・訪日外国人などさまざまな利用者に合理的な配慮を行う。
これはインターネットサービスでアクセシビリティに配慮するという宣言である。NHKの提供するコンテンツは番組、すなわち動画だが、聴覚に障害のある人のための字幕付与、視覚に障害のある人のための音声解説の付与などに力を入れると宣言されたわけだ。
障害者・高齢者・外国人など多様な人々を包摂する共生社会の実現に向けて政府は政策を展開している。2018年に決定した障害者基本計画(第4次5か年計画)には「字幕放送、解説放送、手話放送等の普及を通じた障害者の円滑な放送の利用を図る。」「字幕(手話)付き映像ライブラリー等の制作及び貸出し…について、ICTの発展に伴うニーズの変化も踏まえつつ、その整備を促進する。」と書かれている。
NHKのアクセシビリティ配慮宣言は、障害者基本計画に呼応する重要な一歩である。宣言に沿ってサービスを進めるとともに、次のガイドライン改正では、放送そのものについてアクセシビリティに配慮すると宣言していただきたい。