米国でも、新型コロナウイルスが猛威を振るいつつあります。
ワシントン州のインスリー知事は2月29日、非常事態を宣言しました。同日に新型コロナウイルス感染地域に渡航歴のない50代の男性が死亡したためで、3月1日にはワシントン州で70代の男性も死亡に至っています。両者に基礎疾患があったとはいえ、2日時点ではさらに4名増え死者は6人を数え、経路不明の感染が広がりつつある事実を浮き彫りにしました。
3月1日にはニューヨーク州とフロリダ州でも1人ずつ感染者を確認しており、こちらによれば米国での感染者数は86人(執筆時点、3月2日午後11時時点)にのぼっています。感染者を抱える州も2月28日時点の7州から、12州へ増加したもよう。そのうち、中国系移民の約3割が居住するカリフォルニア州では、8,700人が経過観察の状況です。2月10日にはシリコンバレーを抱えるサンタクララ郡が同10日に非常事態宣言を発動、同14日にはサンディエゴ市、同25日にサンフランシスコ市、同26日にオレンジ郡が続いています。そのカリフォルニア州を始め、3月3日にはスーパーチューズデーを控えますが、米国の脅威となるはずの新型コロナウイルス感染拡大がサンダース候補にとってポジティブに作用するかもしれません。
検査費用が問題視されているためで、マイアミ・ヘラルド紙によれば検査を受けた男性が医療保険会社から受け取った請求額は3,270ドルでした。PCR検査だけであれば喉や痰などから検体を取得するだけ保険でカバーされているもようです。しかし、緊急外来費用をはじめ血液検査やMRIなどを受けた場合(特に医療保険に加入していない約2,700万人の米国人であれば)高額となりかねないのですよ。なお、検査を受けた男性の病院側は「1,400ドル程度のはず」と回答したとされ両者には食い違いがありますが、それでも家計への負担は小さくありません。
そもそも、米連邦準備制度理事会(FRB)によれば、家計の貯蓄額平均は2019年時点で8,863ドル(年金などを除く)。34歳以下の独身子持ちとなれば、平均1,350ドルにとどまります。
ネバダ州の入口調査では、サンダース候補は①若者、②非白人、③高卒以下−–を中心に支持を広げていることが分かりました。
新型コロナウイルスの医療負担を懸念する層が国民皆保険の支持にまわれば、サンダース候補が民主党指名争いで再びリードする可能性を残します。足元、ブティジェッジ候補を始めクローブシャー候補など撤退し、中道派はバイデン候補で結束する道筋が出てきました。
打倒サンダース候補の構図は、サウスカロライナ州でのバイデン候補の勝利を「Joe Biden’s South Carolina rout sends a warning to Bernie Sanders」と報じた大手メディアも支援していますが、トランプ候補のリードに対し主流派が結束した2016年の共和党予備選を彷彿とさせるような気がするのは、筆者だけでしょうか。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。