恐れるべきはコロナウイルスより「日本人の思考停止」

内藤 忍

トイレットペーパー買い占め騒動は、どうやら落ち着きつつあるようです。イオンの東雲店には、トイレットペーパーが積み上げられ、お一人様10点までと書かれているそうです。ショッピングカートでも10点は運べません。こうなると今度は誰も買わないそうです(笑)。

メンタリストDaiGoさんが、ツイッターで「トイレットペーパーより不足しているもの、それは【自分の頭で考える力】」とコメントして話題になっているようですが、まったく同感です。

日本全体がコロナウィルスを撲滅することだけにとらわれてしまって、他のことが犠牲になっていることを考えない「思考停止」になっているのです。

私は公共交通機関を利用するのは控えていますが、コンサートに行ったり、外食もいつもと同じようにしています。資産デザイン研究所主催のセミナーも、今のところは全て予定通り開催しています。

自宅に引きこもらないで、このようないつもと変わらない生活をすると、当然コロナウィルスに感染する確率は高まります。しかし、その確率が極めて低いなら、リスクを取る方が合理的です。国内に何人が感染しているのかは正確に知る方法はありませんが、感染者と接触して感染するリスクは、少なくとも現時点では無視できるレベルだと思っています(今後状況に変化があれば、それに迅速に対応します)。

リスクをゼロにしたいというなら、交通事故が怖いから外出も出来ないし、コロナウィルス以上に感染リスクの高い季節性インフルエンザを避けるため自宅待機すべきとなります。しかし、そんな日常生活をしている人はほとんどいないはずです。

こんなことを書くと、自分の家族がコロナウィルスに感染しても、同じことが言えますか?とか、コロナウィルスで亡くなった方の気持ちを考えたことありますか?とか、お金と命のどっちが大切なんですか?といったヒステリックなコメントが匿名で返ってきたりします。

これは日本社会に蔓延する「過剰コンプライアンス」による思考停止です。

もちろんコロナウイルスの感染者数はゼロになった方が良いに決まっています。しかし考えるべきは、リスクをゼロにすることではありません。「感染を封じ込めることのメリット」と「それに伴うデメリット」を自分の頭で考え、行動を決めることです。

政府や企業は、感染者が出た時の言い訳ができるように自粛を促す。それをみんな何となく考えもせずに受け入れてしまう。そのデメリットも冷静に考えてみましょう。

私はコロナウィルス騒動に対し、どんなリアクションをするかによって、その人の思考能力が問われると思っています。これは東日本大震災の時と同じです。

■ 毎週金曜日夕方に配信している無料のメールマガジン「資産デザイン研究所メール」。メールアドレスとお名前を登録するだけで、お金の不安を解消するための具体的な方法をご紹介します。

■ 「初めての人のための99%成功する不動産投資」、シリーズ累計30万部となった「初めての人のための資産運用ガイド」など、今までに出版された書籍の一覧はこちらから。

※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。