今週のつぶやき:アメリカ大統領選はトランプVSトランプ

留まるところを知らない新型肺炎問題。私の周りでも予定されていたイベントや会合、集会はことごとく中止。毎年4月にある恩師の墓参会すら中止になるとは思ってもいませんでした。というより、私は4月のフライトを取るかすら悩んでいるのです。日本に入国するのもカナダに戻る時もその時の状況次第でどんな制約がつくかわからず、足止めリスクが高すぎるのです。予定は全て白紙にせねばなりません。

では今週のつぶやきです。

溶ける株式市場、売られ過ぎはチャンス到来か?

NY株式市場は金曜日も続落ですが、目も当てられなくなってきました。ただ、バリューから見ると下がり過ぎである銘柄の山となっており、私は高配当銘柄の掘り出し物チェックをしています。銘柄によっては利回り20%を超えるものも出てきており、さすが、それは業績悪化の減配リスクがあるものの半分になっても10%とあるともいえます。

はむぱん/写真AC:編集部

日本の銘柄も同様でちょうど3月の期末が近付いているので冒険好きな方は検討するのもアリだと思います。日本を代表する銘柄の多くはPBR(株価純資産倍率)が1倍以下、つまり、会社解散価値以下という理論的には考えにくい状態になっています。

一方、日本の株安の背中を押しているのが円高。つい、2週間前には112円台を付け、私はこれはおかしいとコメントさせて頂きました。それから一気に逆回転で本来あるべき円高街道を爆走中であります。理由は日銀が具体的対策を打てない一方、アメリカでは先日の0.5%利下げに続き、今月、もう一度利下げする確率がほぼ100%になっているからです。ECBの新総裁、ラガルドさんももともとマイナス金利が嫌いだったこともあり、こちらも対策が打てず、身動きができない状態です。日欧は非常に悩ましいです。

撤回の命運

この数日、二つの撤回を巡り、一つは株価が上昇、一つは下落という運命をだどりました。株価が上昇したのがセブン&アイが進めていたアメリカのコンビニ大手、「スピードウェイ」の買収交渉中断であります。セブンは日本での飽和状態からアメリカにその活路を求めていたのですが、スピードウェイの買収額は2兆3500億円とされていました。買収交渉金額が高すぎた、というのがその理由だそうで、株主は「そうだ、やめて正解だ」と胸をなでおろし、セブンの株価が上昇したというわけです。

楽天の三木谷浩史会長兼社長(コーポレートサイト決算資料動画より:編集部)

一方、下落組が楽天。一定額以上なら送料無料とするサービスに対して公正取引委員会から「緊急停止命令」を東京地裁に起こされ、土俵際に追い込まれていました。金曜日に楽天が撤回検討と報じられ、株価が下落しました。株主からすればアマゾン撃沈のためには重要な戦略だったと映ったのでしょう。さすが、こうなると楽天の味方、菅官房長官も救えないでしょうか?

個人的にはセブンのスピードウェイ買収は進めるべきだったと思っています。そこを抜ければかなりシェアで優位に立つほか、セブン流のコンビニビジネスを全米展開できたはずです。北米のセブンは日本に比べれていまだに遅れています。店づくりが楽しくなく、ガソリン入れたついでにうまくないコーヒー買うか、というイメージです。改良の余地は大いにありです。楽天は今は無理な勝負をせず、携帯電話に注力すべきです。まだインフラを含めた足元は相当ゆるいはずです。

アメリカ大統領選

ウォレン候補が下りたため、民主党候補者選びはバイデン氏とサンダース氏に絞られました。この大統領選の占うにあたり、多くの方はトランプ氏VSバイデン/サンダース氏という構図を考えると思います。私は実はそんなふうには考えていません。今回の大統領選挙はトランプ氏VSトランプ氏なのです。つまり、民主党候補なんて極端な話、誰でもよく、トランプ氏が過去3年半、合格点を取れたかどうか、その信任投票なのであります。

Gage Skidmore/flickr:編集部

今、アメリカは空前の「チェンジ」が吹き荒れつつあります。いつかは終わりが来ると言われた11年近く続いた経済拡大期も新型肺炎には勝てなかったとみています。アメリカ色はいつも一緒と思っていてよく見るとこの11年で全然違ってきていて「良き時代のアメリカ?それ何?」程度でしょう。世間のボイスは保守派の昔を知っている人達からより現実的なアメリカに変わりつつあるとみています。

トランプ政権に対し、根強い支持と根強い反発がぶつかるのはこの変化の扉が開けられるのか、締め続けるのかという選択を求められていると感じています。そういう点ではトランプ大統領が今後、どのような自作自演を行うのか、それ次第ですが、もしも新型肺炎対策でへまをすると痛手になる可能性はあります。国民は審判の材料を見つめ続けています。

後記

東京の不動産屋から「以前交渉していて破談になった案件、復活できそうですが、まだ興味はありますか?」と。私の返事は「興味あるけれど価格が以前のままかどうかは要再検討。これから数カ月、不動産購入どころか倒産の嵐が吹き荒れますよ」とメールしました。要は今までは欲しくても手に入らなかった物件が逆回転で今だけお得に購入できるチャンス到来ということでしょう。これからあらゆるものがバーゲンになるとみています。

ではよい週末をお過ごしください。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年3月7日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。