全米でNY州を含む7州が非常事態を宣言

安田 佐和子

カバー写真:Metropolitan Transportation Authority/Flickr

米国で新型コロナウイルス感染の死者が18人に増加し、世界保健機関(WHO)のデータによると3月8日時点で感染者数は277人と日本に次いで9位となりました。

そのような状況下、人口の多い州を中心に非常事態を宣言する州が相次いでいます。

2月29日:ワシントン州
3月1日:フロリダ州
3月4日:カリフォルニア州(既にサンフランシスコ市など地方政府は宣言済み)
3月5日:メリーランド州
3月6日:ケンタッキー州、ユタ州
3月7日:ニューヨーク州

米疾病対策センター(CDC)の3月7日時点のデータと日本時間3月9日午前9時段階でCNNによれば、感染者を抱える州は34州へ増加(注:ジョージア州は豪雨に伴う洪水など自然災害発生リスクを受けて3月5日に緊急事態を宣言)。

(作成:My Big Apple NY)

NY州では感染者数が4日時点の11人か72時間後には7倍の76人に増え、しかも予防的隔離対象者は約2,700人、自主的な隔離対象者は約1,000人に及びます。NY州での感染は、ユダヤ教徒の礼拝所など韓国と同様に集団が狭い場所に密集する宗教イベントなどで見受けられました。ケンタッキー州やユタ州が感染者1名の段階で早急に行動した理由は、敬虔なキリスト教徒や熱心なモルモン教徒が多いため、教会での集団感染のリスクを鑑みたのでしょう。

MTA、車両や駅構内を消毒。

政治イベントでも、感染者が確認されました。3月7日には米国最大の保守団体、米国保守連合(ACU)が開催した年次イベント、”保守政治行動会議(CPAC)”でも新型コロナウイルスの陽性患者が見つかったのです。このイベントには、トランプ大統領を含め政権関係者が参加し、開催地はD.C.の西隣に横たわり緊急事態宣言を発動済みのメリーランド州でした。

ホワイトハウスのグリシャム報道官は、これを受けトランプ大統領、ペンス副大統領共に感染者と接触した形跡はないと説明し、大統領一家とホワイトハウス全体の安全と健康の管理に全力を注ぐと述べています。

米国でも加速度的に感染が拡大しているだけに、学校閉鎖、リモートワーク、工場一時停止など経済を直撃するリスクが急伸。6日時点のFF先物市場17~18日開催のFOMCにて75bpの利下げ織り込み度は50bpが71.6%と最も高いものの、75bpも28.4%と前日のゼロから上昇しています。さらに、6月9 ~10日開催のFOMCでゼロ金利へ向かうとの織り込み度は44%まで高まりました。市場はFedの積極的な利下げを求めているだけに、失望させれば一段の米株安・米金利低下・ドル安が進みかねません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。