東京オリンピックが延期されるとどうなる?

内藤 忍

コロナウィルスの感染は国内ではピークアウトしたように見えます。しかし欧米では、まだ感染者が増加しており、混乱が収まるには時間がかかりそうです。

新国立競技場(Wikipedia:編集部)

日本政府がコロナウィルスに神経をとがらせているのは東京オリンピックが開催されるからです。開催国として、コロナウィルスの問題が沈静化していなければ、もちろん開催は延期になるでしょう。

しかし、ここにきて問題は日本での感染の広がりではなく、諸外国の問題に変わりつつあります。

日本が正常化したとしても、アメリカを始めとする海外の国々が感染者数をピークアウトできなければ、日本に入国できず、オリンピックが成立しない可能性が出てくるのです。

オリンピックは、7月24日に始まり、8月9日に終了です。開催するかどうかは、開始の数ヶ月前には決定しなければなりません。となるともう時間が限られています。

その判断の権限を持っているのは、IOCと言われています。政治的な思惑や、オリンピックのスポンサー企業の影響など、複雑な要因から最終決定されることになるでしょう。

もしオリンピックが当初予定から、延期あるいは中止になったらどうなるでしょうか?

日本の経済には、当然のことながら、想定外の大きなマイナスですからさらに大きなダメージになります。オリンピック開催を当然のように想定し、様々なスケジュールを調整してきたのに、またさらに再調整が必要になります。混乱に拍車がかかるのは確実です。

そもそも、東京オリンピックが延期されるということは、これから数か月経っても、コロナウィルス問題が尾を引いていることです。世界経済に長期にわたるマイナスの影響があることを意味します。

という訳で、そろそろ東京オリンピックの延期リスクについても、最悪の事態として想定した方が良い気がしてきました。

個人的には、選手村の跡地に建設される晴海フラッグを購入しています。東京オリンピックが延期になれば、こちらの建設スケジュールも後ろ倒しになって、完成が遅れるのではないか。そこも心配です。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。