日本経済新聞が15日朝刊で掲載した「公務員 転職希望が急増」という記事がネット上で話題になった(リンク先は有料会員)。国会対応などの長時間労働によるブラック化は近年クローズアップされつつあるが、日経が大手転職サイト「エン・ジャパン」に登録する国家公務員と地方公務員の人数を取材したところ、19年10~12月期は1万2379人で、前年同期に比べて22%増加で、2000年のサービス開始以降で最高となったという。
この登録者数の数字は国家公務員と地方公務員のトータルの数字なので、霞が関の中央官庁に勤務する人たちの登録状況は判然としない。しかし日経は、経産省を19年度に退職したキャリアが例年の15人を上回る23人にのぼったことなども伝えており、さらに昨年夏に厚労省の若手官僚たちが「生きながら人生の墓場に入った」と述べたことで話題になった働き方改革の提言集についても言及。記者が、中央官庁のブラック労働を念頭に置いているのは明らかだ。
しかも、エン・ジャパンの登録者数が増加した昨年10〜12月期といえば、森ゆうこ参議院議員による質問騒動が大きく波紋を呼んだ時期に重なる。
ツイッター上では
森ゆうこ議員のせいか。
昨年の森ゆうこ通告問題などを見てしまうと尚更。能力のある人、気概のある人から辞めていき、残ったのはよほどの覚悟がある人か酔狂か、転職さえできない人か。
と、森氏の名前を想起する人もみられた。
有識者では、ジャーナリストの佐々木俊尚氏がおなじみの「朝キュレ(朝のキュレーション)」で取り上げ、「優秀な若い官僚は国の大事な礎なんだから、政治家にもその意識を持ってもらわないと。あなた達がすり潰してるのは国の未来。」と、霞が関の疲弊を見て見ぬふりをする政治家たちに警鐘を鳴らしていた。
その政治家では、細野豪志衆議院議員(無所属)も言及。転職希望者急増の動きが報じられたことに「流れが加速する兆し」と前向きに評価しつつも、「急務の国会改革について色んな議員に話してはいるが、突破口が見つからない」と一向に進展しない事態に苦悩もしていた。
埼玉県の自治体に勤務していたという元公務員の男性は
部下に責任を押しつける無責任な上司や組織に定額使われ放題の「サブスク公務員」のままでは離職が止まらず質は下がる一方。住民や社会のために働きたいのに組織や上司が感情で縛りつけモチベーションを下げていては日本は変わらない。だから僕は公務員を辞めました。
と心境を吐露。
こうした公務員離れのムードが強まるのに対して、キャリアコンサルタントの高野秀敏氏は「私も数多くの霞ヶ関の官僚の皆様や地方公務員の方のご相談にのりました 今後これは反対になります」との見方を示し、急速に進む景気の悪化で公務員人気が復活するとの持論を述べていた。