アメリカのように大胆に、イギリスのように思慮深く、イタリアのように陽気に

内藤 忍

米連邦準備理事会(FRB)は緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて、週明けの株式市場がオープンする前に、政策金利を1%緊急引き下げしました。先週のトランプ大統領の欧州からの渡航禁止の発表、あるいは緊急事態宣言など矢継ぎ早に対策を講じています。

そのスピード感と大胆さは、日本にはマネできないもので、賞賛すべきだと思いますが、アメリカに感じるのは「極端」と言う言葉です。右から左に切り替えるダイナミックなスピード感こそがアメリカの持ち味です。

一方、BBCの報道によれば、イギリスではコロナウィルスに対して独自の対応を取り始めました。感染を封じ込めるのではなく、専門家の知見をベースに、対策を組み立てています。学校の一斉休校や、大規模集会の禁止、あるいは厳しい移動制限などの対策を取っていないのは、決して対策が手ぬるいわけではありません。

イギリスのリーダーで感心するのは、それまでの対策が間違っていると分かれば、対応方法を柔軟に変化させていける懐の深さです。

どの方法が正しいのか手探りの中で、各国のコロナ対策が進められています。他国と異なっても自分たちで考え行動していく。そこにイギリス人の思慮深さを感じずにはいられません。

世界に暗く重苦しい雰囲気が広がる中で、思わず勇気を与えられたのは、イタリアの映像でした。外出禁止を命じられ、街から人気が無くなった中(写真)、住人がベランダに出て、みんなで音楽を一緒に奏ではじめる。イタリアの国民性が感じられました。

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さて、日本のコロナウィルスに対する対応はどうなのでしょうか?

クルーズ船の対応を批判し、学校の一斉休講は間違っていると、政府の対策にいちいちケチを付ける。対案無き批判をする前に、自分が何をすべきか考えて、行動すべきです。

極限状況になると、人間の本質が現れる。それぞれの国の良いところを見習って、危機を乗り切っていきたいものです。

(お国柄というのは、あくまで勝手なイメージです。断片的な情報から、全ての国民が同じだと言いたいのはありません。)


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。