コロナ問題、「日本は特別」などと調子に乗ってる場合ではない

コロナウィルス問題は、欧州を中心に最悪の展開になっています。各国が渡航制限や国境封鎖。あるいは外出禁止といった厳しい行動制限をとっているのに対し、日本は自粛を要請するという曖昧な規制で、政府は大人の対応を求めています。それでも、感染者や死者の数を今のところコントロールできているように見えます。

emmanma/写真AC

最近ネットの日本人のコメントを見ていて気になるのは、「日本は特別」「日本の奇跡」といった日本を礼賛する動きが出てきていることです。

確かに、日本人は部屋では靴を脱ぐ習慣があり、水道水による手洗いの習慣があり、清潔好きで国内の衛生状態は良と言えます。

また、国民皆保険によって医療システムも高いレベルです。

さらに、個人レベルでの節度のある行動が自律的に行われる社会構造があると言うのも、感染を抑えるプラス要因かもしれません。

しかし、日本国内では今も感染者数が増えています。そもそも日本で公表されている感染者数のデータは、過小評価されている可能性が高いのです。

そのような状況下、日本をほめたたえるような調子に乗ったコメントを見ると、まだ油断してはいけないと思ってしまいます。

日本は現在も入国に厳しい制限をしていないという事は、海外から感染者が入国するリスクが完全にコントロールされていないことを意味します。

イタリアやアメリカの例を見ればわかるとおり、わずか数日で状況が急激に変化することもあり得ます。

「賢人は最善を望みながら、最悪を覚悟する」

この言葉を忘れないようにしたいと思います。

(写真:日本の外食のレベルは、コストパフォーマンスから見れば、確かに特別です。)


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。