消費税凍結は4月1日でも可能:端境期は戻し税等で対応

※本記事は筆者個人の見解であり、アゴラ編集部の見解を代表するものではありません。


<本記事のまとめ>

  • レジ対応が間に合わない小規模小売り業者は、本体価格8%値引き、10%値引き設定等の急場しのぎ対応で大過ない。
  • それも間に合わない零細小売業者への例外的な消費者の過払い分は、年末調整若しくは確定申告時に税額控除欄を作り戻せばよい。
  • 政府が上記対応を認めれば、消費税凍結や5%減税の実施前の買い控えによる景気逆効果は、最小に抑えられる。法案を通せば、1週間後からの施行も可能である。

新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリングで挨拶する安倍首相(23日、官邸サイトより:編集部)

22日のNHK「日曜討論」で自民党の岸田政調会長は、「消費税は議論を拒否するつもりはないが、引き下げを見込んで事前の買い控えが生じてしまうという逆の効果も想定される」旨、発言していた。

その前のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」でも、コメンテーターの橋下徹氏も確か似たようなことを言っていたと思っていたら、夕方になって下記報道があった。

日本維新 松井代表「消費税の軽減税率8% 全品目に適用を」(NHKニュース)

自民党若手の一部有志が、「軽減税率を0%にして全品目に適用」を政府に提言する中(参照:産経新聞)、維新が税率8%と小ぶりな提言になったのは、前述の買い控えインパクトを嫌った意味合いも強いのだろう。

だが、冒頭のような対応を政府が認めれば、そのインパクトは最小に抑えられる。レジの本体価格8%、10%値引き設定というのは、小売業者の正確な税額計算や全体価格にならないこと等の問題はあるが、消費税申告書フォームの改訂等で大過ない対応は可能だ。

また消費者の過払い分に対し年末調整若しくは確定申告時に税額控除欄を作る件は、税務当局内の消費税と所得税事務の壁を跨ぐことになる他、確定申告件数が増える等の影響があるが、何れも役所内で対応可能な問題である。

全体像が未だに把握出来ない新型コロナウイルスという敵と戦う、底なし沼のような未曽有の世界的経済危機の中、常識的な経済対策では対応不可能だ。

「消費税率は一度下げたら上げるのは至難の業だ」「消費税は社会保障を支える恒久財源で手を付けるべきではない」という声も聞こえるが、国家の単なる出納係である財務省主計局の理屈に過ぎない。今回の新型コロナ禍が去った後に、公務員給与削減等の行革を十分行った上で、国民に「消費税率の復元を取るか、年金支給年齢の繰り下げ等を取るか」を選ばせるのも民主主義の本来の姿だ。

新型コロナ禍は、現金給付や、税金や社会保険料の延納や税金の減免と並び、消費に対して実質的に懲罰的効果を齎す消費税を凍結する「飛び道具」を使うことに躊躇していては、勝てる敵ではあるまい。

消費税凍結法案成立に向け、与野党有志の決起を待つ。