強いものではなく「変節」するものが生き残る

東京のコロナウイルスによる経済的影響は、宿泊施設や飲食店にジワジワと効いてきています。週末の銀座のイタリアンの店内は、閉店しているのではないかと勘違いするくらいガラガラの貸切状態でした(写真)。

ダーウィンは「強いものが生き残るのではなく、環境に適応するものが生き残る」と言ったそうですが、今こそこの言葉の意味を噛みしめ、それを具体的な行動に反映させるべきではないでしょうか。

例えば、同じ飲食店であっても、団体客や法人利用が中心で常連のお客様がいないお店は大苦戦しています。しかし、少人数のグループや常連のお客様をターゲットにしたお店は比較的健闘しています。また、元々予約が取れない人気店などでは、逆にキャンセル狙いの人たちが押し寄せて、相変わらずの満席状態が続いているそうです。

もしこの状況が続くと考えるのであれば、環境の変化に対応しなければ生き残ることはできません。

フランチャイズのチェーン店は方向転換が難しいと思いますが、個人経営のお店であれば、工夫できることはいくらでもあると思います。

資産運用の世界も同様です。リーマンショックを経験し、株式投資のリスクと債券金利の低下を認識したことから、私は自分の資産を不動産を始めとする実物資産にシフトさせました。今では、金融資産の比率は20%以下になっています(インデックスファンドの積立は続けています)。

その動きを見て、一部の熱狂的なファン(笑)からは「内藤忍はなぜ変節したのか」と批判を浴びました。しかし、もし変節していなければ、今どうなっていたかと思うとゾッとします。

もちろん時代が変わっても変える必要のないことも存在します。しかし、過去のしがらみにとらわれて変化に対応できず衰退していくなら、良い「変節」を繰り返すことでサバイブしていく方が、ずっと賢明です。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。