新型コロナウイルスの感染拡大は、日本国内でも著名人にもみられる段階に入ってきた。
25日にはコメディアンの大御所、志村けんさん(70)の感染が判明(参照:イザワオフィス発表)。日本国内の有名芸能人では初のケースとなり、衝撃が広がった。
夕刊フジは「一時は気道を確保するために気管挿入の処置も取られたといい、現在は人工心肺装置を付けている」「一時的に意識が混濁」「言葉を交わすことは難しい状況」と深刻な病状を報じた。翌26日には、初の主演映画として撮影を控えていた「キネマの神様」の降板を発表した(参照:映画.com)。
さらに26日深夜になって、プロ野球・阪神タイガースの藤浪晋太郎投手(25)の感染も明らかになった。藤浪投手の感染はプロアスリートで初めて。藤浪投手は飲み物のにおいがしないなどの嗅覚異常を訴え、PCR検査を受けていた。球団側はこの日、予定していたソフトバンクとの練習試合(二軍戦)を中止。藤浪選手と食事に出かけていた複数の選手も味覚の異常を訴えており、阪神の首脳陣、選手らチーム関係者は当面自宅待機となり、甲子園球場でも消毒作業を実施した。
NPB(日本野球機構)はJリーグと共同で、感染症の専門家から対策を提言されているが(参照:NPBサイト)、延期していたレギュラーシーズン開幕の目標も、現時点の4月24日のままで行くのか予断を許さない状況になってきた。
こうした中で、ノーベル医学生理学賞受賞者の山中伸弥・京都大iPS細胞研究所所長が、「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」と題した個人サイトを開設し、その情報発信が注目を集めている。趣味のマラソンを引き合いに「新型コロナウイルスとの闘いは短距離走ではありません。1年は続く可能性のある長いマラソンです」と呼びかけ、国民に長期戦の覚悟を要求している。
26日には記事をアップデート。「今、求められる対策」と銘打った項目では
新型コロナウイルスを制圧することはもはや困難です。受け入れるしかないと私は思います。社会崩壊も、医療崩壊も起こらない形で、ゆっくりと受け入れる必要があります。
と現実を直視するように訴え、図解も示した。
山中教授はさらにiPS細胞研究所所員へ送ったメッセージの一部も紹介。
「桜は来年も帰ってきます。人の命は帰ってきません」
例年より早く桜の開花が進んでいます。いよいよ春ですね。
皆さんにお願いがあります。今年のお花見は、人混みは避け、近くで咲いている桜の周りを散歩するだけにしてください。
などと呼びかけていた。
この内容にネットでは、
素晴らしく分かりやすかった
こういうときに、おそらく科学者を代表するプロフェッショナリズムで、一般社会へ貢献しようという責任感。
と絶賛する声が相次いだ。
アゴラ執筆陣では常見陽平氏が山中氏の呼びかけに対し、「長いマラソン 覚悟することにした。自分を律すること。」と決意を新たにしていた。
山中伸弥教授の発信
うん、長いマラソン
覚悟することにした。
自分を律すること。https://t.co/EE5KIJtwWZ— 常見陽平 (@yoheitsunemi) March 26, 2020