戦後、子供たちの学習環境がこれほど制限されたことはなく、子供たちの学力低下が心配です。
すでに、休校措置から2ヶ月近くが過ぎ、自宅で過ごす子供たちの学力低下が懸念されていますし、何より、来年受験を控える子供たちにとっては、一日一日が未来を分ける日々の連続です。
特に懸念されるのが、学力の格差拡大です。緊急事態宣言の影響で、学習塾も休業に入ったところが多い一方で、家庭教師や有料のEラーニングの需要が増している分、所得の高い世帯の子供と、そうでない世帯の子供の学力格差が一気に広がる懸念が増しています。
「無料のスタディアプリがあるじゃないか」との指摘もありますが、我が家の小学生の子供たちも、パソコンを与えて、学習用のアプリに向き合わせても、気がつけば、ヒカキンを見ている始末で、学習効果は限定的です。ましてや、子供だけを家においている家庭においては尚更です。
そこで、私たち都民ファーストの会では、早くから、学校の担任の先生と自宅の子供が、パソコンを通じて、コミュニケーションを取れて、学習できる仕組みを作るべきだと、東京都教育委員会に要請をしてきました。
当初、都は、「全てのご自宅にパソコンとWi-Fi環境が備わっているわけではなく、全てのご家庭に瞬時にパソコンなどを貸与するのは困難であるため、自宅と学校とのオンライン授業を目指すのは難しい」という立場でした。
そこで、私たちの提案はこうです。
まず、ご自宅にパソコン環境があり、日中に子供たちが使えるパソコンがあるご家庭については、それを利用していただく。
次に、ご自宅にパソコンがないご家庭に対しては、現在、区市町村の小中学校が所有している、学習用のパソコンを一時的に貸与するというものです。さらに、Wi-Fiがないという家もありますので、ないご家庭については、都がポケットWi-Fi(ルーター)を借り上げて、貸与してあげればいいではないか、と提案しています。予算はかかりますが。
ここで、区市町村がどれくらいの学習用のパソコンを所有しているか、調べてもらったので、ご覧ください。かなりのバラつきがあることが判明しました。
私の選挙区の目黒区などは、約7台に一人の割合ですから、整備が遅れていると言われても仕方ありません。一方、渋谷区などは一人1台を達成しています。
話を戻すと、全てのご家庭で、パソコン、Wi-Fiがないというわけではないでの、これら小中学校が子供の学習用に整備したパソコンを、所有していないご家庭に貸与すれば十分に賄える可能性があります。また、区市町村によっては、パソコンが足りないという事態も考えられますが、一時的な措置なので、余剰の出そうな自治体から融通をして貰えばいいと思います。
これらの提案に対しては、こんな意見も聞かれます。
「国が子供たち一人1台のパソコン整備を打ち出した、ギガスクール構想があるので、その整備を待ったらいいではないか」
ギガスクール構想は、国の思い切った政策として高く評価するものですが、整備完了まで3年以上かかる事業。これでは、今の火事場には全く間に合いません。
そこで、小中学校のパソコンを家庭に貸与し、ポケットWi-Fiを都や区市町村で借り上げて、貸与する形式が一番、速くて、うまくて、安い、と考えています。
これが実現すると3つのことが可能になります。
一つは、アプリ任せではなく、担任の先生が、子供たち一人ひとりに直接呼びかけ、毎日の宿題をチェックできたり、学習効果を確認できます。
二つ目は、やや安全性が疑問視されていますが、ZOOMなどを使えば、ネット上で合唱を行ったり、卒業式などの行事も行えるかもしれません。
三つ目が大事で、児童虐待リスクの低減です。
これだけ、休校措置が長期間に及んでいる分だけ、虐待リスクが高まっていると言われています。普段であれば、担任の先生が気付いてあげられる、子供の変調を見ることもできません。しかし、決まった時間にオンライン授業をして、子供の姿形を確認できれば、少なからず、虐待リスクを減らすことができるはずです。
上記のことから、次に東京都が発表する補正予算があるとすれば、このオンライン授業に必要な予算を確保し、遅くても6月には授業ができるように、私たちは東京都に強く求めています。
新型コロナとの戦いは短期決戦で解決することがベストです。一刻も早く、学校が再開されることが望ましいのは言うまでもありませんが、休校解除がいつになるのか見通しが立たない中では、40代の私と違って、毎日、細胞が増え続け、無限の学習効果を有している子供たちの貴重な学びの時間を無作為に失わせるわけにはいきません。
危機の時こそ、即決性、即効性、即応性が何よりも重要で、それこそ政治の役割です。都民ファーストの視点で、政治の本領発揮をして参ります。