コロナ対策期間中、東京都ベビーシッター助成金にかかる所得税が非課税へ!

駒崎 弘樹

7日に政府が出した緊急事態宣言を受け、多くの自治体が保育所や学童保育の臨時休園を決定したことに伴い、家庭で子どもを見ながら在宅勤務をする保護者が激増しています。

子どもを見ながらの在宅勤務を経験した方ならよくわかっていただけると思いますが、相当難しいです。いや、無理ゲーと言っていい。

そこで今、ニーズが高まっているのが、ベビーシッターです。マンツーマンなので感染リスクも低いし、家に来てくれれば、その間に仕事や家事もできます。

写真AC

ただ、1対1のケアとなるため、1時間1800円〜2500円前後で利用料金が高く、なかなか限られた人しか使えない、というのがネック。

でも、東京都は2年前から「ベビーシッター利用支援事業」という助成金を創り、待機児童になった0〜2歳児の保護者等に、ベビーシッター代を助成しています。

これを使えば、なんと1時間150円で利用できるのです。激安です。

え、でも待機児童になった保護者しか使えないじゃん!って?

実は14日、都知事が、待機児童の保護者だけでなく、新型コロナ感染防止対策で保育所が休園になって困っている保護者も、助成を受けられるようにすることを発表したのですー!

参考:令和2年4月14日(ライブ) 東京都新型コロナウイルス感染症最新情報 ~小池知事から都民の皆様へ~

すごい!みんな助かる!救世主!!

でも、でも、東京都ベビーシッター助成にはブラックホールみたいな落とし穴があったのです。

シッター助成金に所得税が課税されてしまう謎ルール

僕たち子育て家庭には涙目になるほど嬉しいシッター助成金ですが…。なんと所得税法上の「雑所得」に当たるため、所得税が課税されてしまうという謎ルールがありました。

例えば、このベビーシッター助成をフルに活用するとしましょう。そうすると年間300万円くらいの助成が受けられます。年収400万円の方が利用すると仮定すると、年収が300万+400万で700万円と見なされるということになります。

実際はベビーシッター代とベビーシッター助成でいってこいなわけなんですが、このケースで言うと、なんと所得税が43万円も増額されることになります(*世帯年収400万円、子ども2人の想定)。

年収が400万円で43万円も税金が増える、というインパクトたるや。

これでは、せっかく自治体から助成金をいただいても、意味ないじゃん!と。

喜びも一転、ネット上でも昨年、「ありえねー!!!」と大炎上したのでした。

参考:東京都のベビーシッター利用支援事業はちょっとアリエナイ

せっかく東京都が頑張った良い制度だったのに、なんてもったいない。

こんなトンデモな事態を招いた犯人は、国の所得税法第9条

所得税法第9条において、規定する「非課税対象」に「保育関連費用」が含まれていない、ということが要因だったのです。

遠山財務副大臣に要望書を提出!そして非課税へ

さて、親子の課題を解決することをミッションとする我々が、この問題を放っておくわけがありません。子育て支援に熱心な公明党さんに、何とかならないものかとずっと相談し続けておりました。

そしてついに14日、所得税法を所管する財務省の遠山清彦財務副大臣に、所得税法第9条を改正して、ベビーシッター助成金を非課税にしていただくよう要望書を提出したのでした。

それに対し、遠山副大臣からは…

“新型コロナ対策における東京都のベビーシッター助成について、非課税にすることで最終調整に入っている。”

との返答をいただきました!!やったー!!

コロナ後はどうか知らんが、とりあえず、今、この困っている今に関しては、東京都(他の自治体も)ベビーシッター補助に関しては、所得税が掛からなくなる方向性だ、ということです!

(コロナ後もこのままいってほしい…)

コロナ休園もベビーシッターで乗り切れる

臨時休園になって、在宅勤務をしながら子育てしている人たちの悲鳴が聞こえています。特に子どもに障害があったり、親が病気だったりする家庭には、大きすぎる負担です。

そこに、1時間150円でベビーシッターが行ってあげれば、どれだけ多くの人たちが助けられるでしょうか。

東京都で保育所が休園になってお困りの保護者のみなさん、都のシッター助成は、待機児童でなくても利用できるようになる上、非課税にしていただけそうなので、ベビーシッターを活用して大変な自粛期間を共に乗り切りましょう! (おそらく施行は5月以降ではと予測)

こうした小さな奇跡を実現できたのも、遠山財務副大臣を中心とした財務省のみなさん、そして松葉都議を始めとする公明党都議団のみなさんのお陰です。本当にありがとうございました。

なお、東京都ではベビーシッター助成を導入していない自治体もまだまだあるので、そうした自治体には急いで「ちゃんと導入して!」と住民から今のうち猛烈にプッシュする必要がありますので、住民の皆様はお忘れなきよう、お願いします。

親子の課題を事業と政策提言によって解決するフローレンスは、これからも現場の声を政治に届け続けていきたいと思いますし、このコロナや臨時休園で苦しむ家庭のために、バンバン政策提言をしています。

ぜひ、皆さんも共に声をあげて頂けたら、と思います。頑張りましょう!!


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2020年4月17日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。