女優の岡江久美子さんの訃報から一夜明けた24日、岡江さんの自宅前に集結した報道陣の「3密無視」とも言えるメディアスクラムにネット上では非難する声が相次いだ。
世田谷区にある岡江さんの自宅前には前日から多数の報道陣が殺到していたが、東京中日スポーツが所属事務所の関係者が取材に応じた様子を伝えた際に、「自宅前に集まる報道陣に対応する事務所関係者」とキャプションをつけた記事がネットに配信すると、たちまちネット民が反応。
なんでこんなにマスコミ殺到してるの… 不要不急の取材は控えようよ。
密集するなとか外出自粛とか、どの口が言うかと思うね。
完全に3密ですね
などと、ソーシャルディスタンスへの配慮のかけらもない対応に非難が殺到した。
これには著名人も反応。出版編集者の箕輪厚介氏はツイッターで「嘘でしょ。またやっている」と呆れた様子。
箕輪氏のツイートに音喜多駿参議院議員も「これはいくらなんでも……」と絶句していた。
また、アゴラ編集長の新田哲史は、箕輪氏のツイートを引用した上で「こんなことやってたら、記者会見やメディアスクラム規制が法的にできる契機になって、コロナ禍が終わった後もその規制が残ってしまって、結果的にメディア側が失うものが大きいということに想像がつかない。」と指摘。メディア側の浅はかな対応が結果的に公権力による取材規制が行われることへの懸念を示していた。
ネットの炎上は24日、岡江さんの遺骨が自宅に戻った時にも続いた。岡江さんも、志村けんさんのときと同じく、最期を看取ることも許されず、荼毘に付される瞬間にも家族は立ち会えなかった。葬儀業者の関係者とみられるスタッフが岡江さんの遺骨の入った箱を玄関前に安置した後、夫で俳優の大和田獏さんが自宅から出てきて箱を受け取った。大和田さんは箱を手に取りながらも報道陣に気丈に対応。
「久美子は今、帰って参りました。こんな形の帰宅は本当に残念で悔しくて悲しいです。どうか皆さんも、くれぐれもお気を付け下さい。それが残された家族の願いです。ご苦労様でした」と挨拶し、室内に戻って行った。その模様は夕方のニュースで中継もされたが、ネット民の悲しみと共に報道陣への怒りもさらに呼び込む形に。
ツイッターでは、
家族が静かに見守ってと言っているのに岡江さんの遺骨が戻ったなどと映像を流す。こんなこと口頭だけで良し。局のバカさ加減にはあきれる。
岡江さん遺族への遺骨受け渡しに群がるマスゴミの密。最悪だなほんと。
マスコミ、ほんと帰れよ。そっとしておいてあげてほしい。
など、怒りが冷めやらない様子だった。
テレビ朝日アナウンサー時代に、大和田さん司会の「ワイド!スクランブル」で共演していた川松真一朗都議は、「獏さん、こんなに憔悴されて」と気遣い、「こんな姿を撮らせる必要あるのか。 しかも、コロナの為に、最後のお別れも出来なかったという事を慮る事さえもできないのだろうか」と苦言を呈していた。
平時でも遺族取材は、関係者の怒りを買うものだが、新型コロナウイルス感染拡大で、政府が緊急事態宣言を行い、国民や企業が自粛に喘いでいる中にあって、テレビやスポーツ紙などの芸能メディアは他人事のような振る舞い。メディアに対しても世論が「3密」を意識した取材対応を求めることは必至だ。