5月8日20時に、都は、初めて都内PCR検査の陽性率を発表し、その数字が7.5%であったことを明らかにしました。
さて、この数字をどのように、理解すればよいのか?
読者の皆様も、受け止め方がわからないと思います。
そこで、PCR検査の陽性率の読み解き方を、私なりに解説をしたいと思います。
結論から申し上げますと、陽性率が7.5%になってきたということは、ようやくPCR検査が広がってきたなということです。しかし、まだまだ、検査数が足りないなという印象も同時にあります。
例えば、以下のグラフからもわかるように、4月11日頃は31%を超える陽性率の高さでしたから、何が言えるかと言えば、つまり、「間違いなくコロナだろ」という方しかPCR検査を受けさせてもらえなかったということです。
本来、PCR検査の目的は、大きく2点でしょう。
一つは、コロナ疑いの方を早期に発見して、重症化を防ぎ、他者への感染を防止すること。もう一つは、検査数を増やして、市中感染率を弾き出すことで、感染防止戦略にデータを活かすことです。
しかし、日本では、病床が足りなくなるなどの理由から、保健所がPCR検査を受け控えさせてきましたから、2つの目的というよりは、重症罹患者を見つけ、病院に搬送することにPCR検査が使用されてきましたので、特に市中感染状況を把握する精度になっていませんでした。
受け控えさせてきた原因については、以下ですでに解説した通り、国の方針に沿って、保健所が配慮した結果と言わざるをえませんが、ここでは割愛します。
PCR検査のボトルネックの一つだった、陽性患者の移送先を、小池知事が病院から療養ホテルへと拡充し、民間検査機関への依頼を一気に増やした結果、PCR検査数は、当初の一日300件程度から、現在の1500件程度に増やすことに成功しました。
その分、「コロナかも」という人がPCR検査を受けられるようになり、陽性率が7.5%程度に下がってきたと言えます。
では、これが、市中感染率と言えるかといえば、私の答えはノーです。
7.5%というのは、専門家によれば「7.5%は、アメリカの流行期の病院外来の陽性率より高い」と言いますから、アメリカの流行期の病院外来より、都内の陽性率が高いとは思えませんので、都内の市中感染率が7.5%ということはないでしょう。
余談を許しませんが、私の想像では、都内の市中感染率は3〜6%ではないかと思いますので、まだPCR検査が足りていない証しです。
「念のために受けたい」という人が受けられるようになって初めて、PCR検査の陽性率が、市中感染率を正しく分析するデータに変わっていくとご理解ください。
ここまで、さかんに市中感染率に拘って、書いてきた理由は、これこそが、いわゆる出口戦略にとって最も重要な判断材料になるからです。
出口戦略にとって重要なのは、医療崩壊を招かない規制の緩和と、招きそうになったときには、速やかに規制を強化する柔軟な運用と、それを可能にする市中感染状況の把握です。
医療崩壊を招かないように、規制の強弱をコントロールするためには、市中感染状況を毎日、正確に把握、分析し、感染拡大率を予測する必要があるのは明らかです。
その判断材料の一つは、もっと普及したPCR検査の結果でしょうし、他には、抗体保有率、超過死亡数、汚物から採取する下水調査結果などが挙げられますので、過去、PCR検査数が不足している日本では、これらの調査結果を複合的に用いて、市中感染状況を弾き出す必要があると考えます。
今回の7.5%という数字は、PCR検査が普遍的なデータになりつつあることを示しているという点で、安心感を与えるものですが、まだまだ足りないことも意味していますから、私たち、都民ファーストの会としては、PCR専用検査施設の増設を後押しするとともに、抗体検査など、簡易な検査システムも都に提言していきます。