なんとまあ間の悪いことはやるもんだなあ、と言わざるを得ないのが、従前の法解釈を無視して強行した高検検事長の定年延長措置の手続き的瑕疵を事後的に修復するための検察庁法の改正だろう。
国家公務員の定年延長自体には反対しないが、今の段階で検察官の定年を一律に延長することには異議を述べざるを得ない。
如何にもコロナのどさくさに紛れて検察庁法の改正を推し進めているように見える。
これは、一斉に口を揃えて異議を述べておられる皆さんが正しい。
何がいけないと言って、一番いけないのは、内閣が人事権を不当に行使して司法に不当に干渉しようとしているように見えるところだろう。
次の検事総長に擬せられている方の能力や識見には問題はないと私自身は思っているが、人事を通じて検察の公正らしさを貶め、如何にも法の執行の在り方を歪めようとしているように映るのが一番拙い。
ここは、国家公務員法の改正とは切り分けて考えるのが筋である。
日本は法治主義の国家であり、司法の権威を傷つけるような絶対にすべきない、というのが私の基本的な立場なんだが、そのあたりの感覚が今の内閣や自民党執行部の皆さんの場合は、かなり鈍磨しているようである。
出直した方がいいな、と思っているのだが、さて皆さん、どうするのかな。
コロナのことで大方の国民はそれほどの関心は持っていないはずだ、などと高を括らないことだ。
問題があるのに、問題ない、とか、大丈夫、などと安易に言われないことである。
念のため。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。