毎日新聞が23日に発表した世論調査で、安倍内閣の支持率が前回の40%から27%に急落したことが波紋を呼んでいる。
内閣支持率27%に急落 黒川氏「懲戒免職にすべきだ」52% 毎日新聞世論調査
調査では、東京高検の黒川弘務検事長(22日に辞職)の賭け麻雀問題や、法案提出が見送られた検察官の定年延長問題に関する質問で、厳しい反応が出ている。
ツイッターではさっそく調査結果に関する意見が百家争鳴状態になっており、政治学者の中島岳志・東工大教授は「30%を切ると、堅い与党支持層が見放しつつある兆候」「支持層が揺らいでいる兆候と捉える向きが出てくるため、与党内でさざ波が起き始めます。」などと、政権崩壊の始まりを示唆する見方を示した。
またアンチ安倍勢力の人たちは鬼の首を取ったようにツイート。東京新聞の望月衣塑子記者は「黒川検事長の登用に固執して違法な閣議決定をした末、検察庁法改正で上書きしようとした#安倍首相 や #菅義偉 #官房長官 の責任は大きい。」と強調。
タレントの松尾貴史氏は支持率が「まだ27%もある恐怖」などと安倍政権への嫌悪感を露骨に語った。
ただ、政権への逆風があったとはいえ、1か月ほどでの急落ぶりに疑問を持つ声もある。毎日の調査は今回、社会調査研究センターとの共同で行い、前回までと調査方式を変更。毎日新聞の記事によると、4月までは固定電話と個人の携帯電話に調査員が電話をかけて質問してきたが、コールセンターから一斉に電話をかけるやり方が、新型コロナウイルスの感染対策によりできなくなった。今回はオートコール(自動音声応答)方式に切り替えて実施したという。
世論調査を手掛けるベンチャー企業、JX通信社社長の米重克洋氏は「数字の評価は、同じ方式でない以上連続して比較することが難しいので、他社調査も含めて様子を見たい。」「もう少しテスト期間が長くとられるものと思っていた」などと指摘していた。
また、前述の中島氏も言及しているが、永田町では内閣支持率の捉え方に関して「青木率」「青木の法則」と呼ばれる指標がある。これは内閣官房長官などを歴任した青木幹雄元参議院議員が述べたもので、内閣支持率と政党支持率を足した数字が50を切った場合に政権が危険水域に達するという青木氏の経験則に基づいた指標だ。政治メディアではしばしば引用されることでおなじみだ。
今回の毎日調査では、自民党の支持率は、2番手の立憲民主党の2倍以上の25%(前回30%)。これに内閣支持率27に加えた「青木率」では52%となり、まだ危険水域には突入していないが、調査方式の変更があったとはいえ、安倍政権を取り巻く風向きが順風とはいえないのは確か。今後の展開はどうなるだろうか。