The Show Must Be Paused.
アトランティック・レコードの取締役の呼び掛けにより、音楽業界が”ブラックアウト・チューズデー”を開始しました。「The Show Must Go On(ショーは続けなければならない)」をもじり、警官による黒人死亡事件への静かな抗議メッセージは「The Show Must Be Paused(ショーは止めなければならない)」。6月2日の火曜日、音楽業界はジョージ・フロイド氏を始め非業の死を遂げた黒人の方々に追悼を表すだけでなく、人種差別撲滅を求めビジネスを1日停止します。
具体的には、TVネットワーク大手バイアコムCBSは傘下の音楽チャンネルMTVやBETなどの放映を止め、ラジオ局はを休止し、音楽ストリーミング大手スポティファイはフロイド氏が頸部を膝で強く押さえつけられた8分46秒にわたり、配信を中断します。
余談ながら、ブラックアウト・チューズデーを立ち上げたアトランティック・レコードと言えばR&Bやジャズの名門レーベルとして絶大な地位を築き、古くはレイ・チャールズやアレサ・フランクリンが所属していました。その陰で、レッド・ツェッペリンやインエクセス、フィル・コリンズなども抱えていましたよね。創業70年以上ながらその権勢は衰えることなく、女性ラッパーのカーディー・Bの他、DJのスクリレックスなど様々なアーティストをそろえます。
今回のプロジェクトには数多くの関係者も参加し、大御所クインシー・ジョーンズやレディオヘッドのほか、ビリー・アイリッシュ、キャリー・アンダーウッドなどが名を連ねます。
音楽業界きってのパワーカップルも黙っていません。ラッパーで音楽プロデューサーのJay-Zはミネソタ州のティム・ワルツ知事に黒人コミュニティを支援するために必要な対応策を提示したといいます。妻の歌姫ビヨンセは、5月29日にインスタグラムで「ジョージ・フロイドの死に関与した者たちに裁きを求めるなら、リンクをクリックして嘆願書に署名して」と正義を訴えていました。
抗議デモは全米140都市以上に拡大するどころか、海を越え欧州を始め各地へ飛び火する状況。音楽業界の意図と祈りが、国境をまたぎ多くの人々に届いたことは間違いありません。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年6月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。