昨日、2020年6月2日に、名古屋高等裁判所金沢支部で、パチンコ依存症の孫が祖父を殺害した事件の2審判決がありました。
1審で無期懲役となったこの事件、弁護士はギャンブル依存症を主張しましたが、判決は減刑されることなく無期懲役という厳しいものになりました。
24歳の若さで、無期懲役となり回復のチャンスも与えられないことは、本当に残念でなりません。
確かに、許されない犯行ではありますが、これを個人問題、家族の問題として片付けてしまったのでは、あまりに荷が重く、悲惨すぎると感じています。
石川県は私が見ていて、ギャンブル依存症対策が進んでいない、支援最弱県の一つです。
1審の判決文も読みましたが、このご家族被告のギャンブルの問題で、長年苦しまれているんですよね。
でもどうしたらよいのかわからないと、もがき、悩み、様々な試みをし、それでも一向に解決に至らず、問題は悪化しています。もっと早く「相談できる」ということをご家族が知っていたら、結果は全然違っていたと思います。
石川県は、私が知る限りギャンブル依存を扱って下さる、信頼できるクリニックは1カ所しかないし、自助グループも数少ないのです。
せめて「おかしな奴が起こした愚かな犯行」と片付けてしまうのではなく、このような悲惨な事件になる前に、地域でできたことはなかったのか?と、この事件を改めて、県や市そしてパチンコ業界を含め総括して欲しいです。
また裁判官の判決も矛盾しています。
「ギャンブル依存症によって犯行の意思決定まで失っていたわけではない。被告は責任能力がある」
とありますが、ギャンブル依存症は自分の意志の力が効かなくなります。
「こんなことをしてはいけない!」とわかっていても止められないのです。
判決文には大きな影響力があるのですから、判決をだす際には、裁判官はせめてギャンブル依存症に対する科学的な根拠を踏まえ、正確な表現をお願いしたいです。この国の裁判官は、全体的に「医学」より「情」を優先しすぎていると感じています。
さて、事件の起こった金沢といえば、市議がコロナウイルスに感染療養中に、パチンコ店を2度も訪れていたことで話題になっておりますが、私は、むしろこの市議に金沢市のギャンブル依存症対策に取り組んで頂いてはどうかと思っております。
辞職決議が出されていますが、やめるおつもりはないでしょうし、それよりも、自分が最も触れて欲しくない、自分の恥に対して、真摯に向き合ってこそ、本当の反省だと言えるのではないでしょうか?
反省した姿を「2度と触れない」とばかりに蓋をしてしまうのは、単なる「逃げ」だと思います。
自分が何故そんな行動をしてしまったのか?
同じように自粛下でもパチンコに押し掛けた人々はどうしてなのか?
この市議にこそ向き合って欲しいのです。
「強盗殺人」という凶悪犯罪が起き、しかもその善後策が殆どないに等しい、金沢市にとって、この方ほど対策適任者はいないのではないでしょうか。
そして金沢市は、第二、第三の問題が起こらぬよう、決して他人事にせず、今こそ向き合うべきだと思います。