東京都の新規感染者数は、6月14・15日と2日続けて40人を超えた。
直近1週間の十万人あたり感染者数は1.4人だ。それでも東京アラートは解除され、19日には休業要請が全面解除される方向だ。
5月の緊急事態宣言解除の際は、「1週間で10万人あたり0.5人」が基準とされ、この数字を巡って都道府県が振り回された。あれは一体何だったのだろう。第二波に対応して外出自粛の続くソウルと比べても、東京ロードマップのチグハグな進行状況はわかりづらい。
国や東京都の説明は、「ここ数日の数値は、夜の街(ホストクラブ、キャバクラなど)で積極的な検査を行い、無症状感染者もみつけた結果。以前の数値とは比べられない」ということだ。しかし、そうはいっても、「夜の街」関連の感染者は6/8~6/14で65人。これを除いても尚、10万人あたりで0.7人程度だ。
もちろんほかにも、特定施設での院内感染が多いなどの状況はあるのだろう。また、もともと「0.5人」基準が厳格過ぎたのかもしれない。いずれにしても、国と東京都は、「積極的な検査」というだけでごまかすのでなく、現状評価をより正確に説明すべきだ。
もう一点わかりづらいのは、休業要請との関係だ。ホストクラブなどは、東京ではまだ休業要請の対象だ。現実には、要請に従っていない店舗で感染が広がった。ところが、東京都は、要請を徹底しようとはしていないようだ。それどころか、西村大臣の会見(14日)をみると、「(新宿区長によれば)こうした店舗も感染対策に協力してくれている」との趣旨のコメントもある。
パチンコ店は店名公表まで行ったのに、要請を無視したホストクラブなどにはなぜ甘いのか。違いはおそらく、すでに緊急事態宣言を解除していて、要請の法的根拠がなくなっていることだろう。だが、それならば、なぜ宣言解除を先行し、中途半端な休業要請を続けていたのか。国と東京都のやっていることは、ともかくチグハグでわかりづらい。
「夜の街」の店舗では、積極的なPCR検査もなされているという。これは結構なことだが、留意すべき点もある。「自分は検査で陰性だったから大丈夫」との間違った安心を与え、これがさらに感染を広げることにならないよう、要注意だ。
一般に、感染してから発症するまでの間、PCR検査での検知可能性は低く(“detection unlikely”)、感染していても「陰性」判定になる場合が多いとされているはずだ。しかも、厄介なことに、この時期に他人に感染させる可能性は高いとされる。
新宿の「夜の街」ではここ数日、無症状感染者が相当数みつかったというが、実際にはもっと多くの無症状感染者が「陰性」判定になっている可能性もある。厚労省や医療関係者には、最新の知見に基づき、「陰性」判定の意味をわかりやすく示し、関係者に十分徹底してほしい。