「8割おじさん」の暴走を止められなかった専門家会議

新型コロナ対策の中心だった専門家会議が、廃止されることになった。これは尾身茂副座長も事前に知らされていなかったらしいので、実質的な取りつぶしである。政府の新型コロナ対策が迷走した責任を専門家に押しつけるのはフェアではないが、専門家会議に問題が多かったことも事実である。

政府の諮問機関ではないのに、専門家会議は政府として決めたかのように記者会見して「8割削減」や「新しい生活様式」などの提言を発表した。おまけに西浦博氏(北海道大学教授)が「東京で8万人感染する」とか「全国で42万人死ぬ」という予測を発表して国民を恐怖に陥れたが、空振りに終わった。

迷走した専門家会議

新型コロナ対策本部ができたのは1月30日。ほぼ同時に新型コロナが指定感染症に指定され、専門家会議が2月14日に発足した。初動体制は早かったが、その後は強硬派の厚生労働省と、慎重派の自民党の対立が続き、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)の改正は3月までずれこんだ。

この対立の背景には、いつも感染症に過大な対策を主張する厚労省に対する批判があった。2009年の新型インフルエンザがパンデミックに指定されたときも政府は対策本部を立ち上げたが、日本では死者200人未満で空振りに終わった。

そのあと厚労省は「新型インフルエンザ対策行動計画」を出し、最大の被害想定を「感染者3200万人、死者64万人」とした。これをもとに2012年にできたのが特措法だが、この被害想定には過大だという批判が強かった。

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