年下でも「さん付け」で呼ぶべき理由

内藤 忍

まぽ (S-cait)/写真AC

私は、基本的に年配でも年下でも、呼び捨てにせず「さん付け」て呼ぶようにしています。親しみを込めてファーストネーム、ニックネーム、「ちゃん付け」にする場合もありますが、例外的です。

日本では、年上の人を尊敬する風潮が未だに強く、学生時代の先輩・後輩関係を還暦近くになっても引きずっている人たちもいます。

私は昔から、あの手の体育会的なノリがとても苦手でした。ほんの数年だけ先に生まれてきただけで、偉そうにしていることが、なんとも許せなかったのです。

確かに、かつては人生経験が長いことに、大きな価値がありました。知識や情報は自分で経験するか、本を読むぐらいしか方法がなく、長く生きた人の方が、圧倒的に有利だったからです。

しかし、時代は変わりました。インターネットによって情報収集のコストと手間が劇的に低下し、年長であることのアドバンテージが消滅していったのです。

囲碁や将棋の世界でも、若手が台頭してきているのは明らかにネットを使った情報により人生の短さを補えるようになってきているからだと思います。

人生100年時代に入ると、年下の人たちに教えをこうことが増えてくると思います。

既にインスタグラムの使い方などは、20代の若者に聞いた方が詳しく知っている。そんな時代になっています。年功序列で威張っている時代は終わったということです。自然年齢に関係なく、能力や知識のある人には尊敬の気持ちを示すことが大切です。

だから、年上だからさん付け、年下だから呼び捨てと言った、自然年齢で上下関係を決める20世紀の価値観は早く捨てるべきです。

自分の子供のような年齢の人たちに対しても、「〇〇さん、わからないから教えてください」と頭を下げて、素直に教えを乞うことができるかどうか。それが、人生100年時代の幸福を決める1つの大事なポイントになると思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。