日本人宿泊客が敬遠される「3つの理由」

コロナ渦で、インバウンドの外国人旅行者はすっかり減ってしまいました。

京都などでは、コロナショック前までは、外国人観光客が多すぎて問題になっていました。マナーが悪くて、地元に迷惑をかけているというのが、外国人観光客に対する日本人の一般的なイメージです。

しかし、私の知り合いの温泉旅館経営者に言わせれば、外国人よりも日本人宿泊客の方が、扱いにくいそうです。

まず、日本人は、夏休みやお正月、ゴールデンウイークといったオンシーズンに、大挙してやってきます。通常時も、平日は休みをあまり取らず、休前日の週末に予約が集中します。

しかも、宿泊期間が短く、ほとんどが週末の1泊だけです。土日がそんな短期宿泊の日本人でブロックされてしまうと、長期で泊ってくれる外国人の予約が入れられず、機会損失してしまうこともあるのです。

そして、日本人宿泊客は、クレームが多いそうです。部屋が少しでも汚れていると、文句を言う。それだけではなく、部屋に虫がいるというクレームも多いそうです。露天風呂に虫が浮いていると言ってくる宿泊客もいます。

清掃を徹底しても、田舎の温泉地であれば、虫を完全に除去するのは、無理な話です。欧米の宿泊客からは、その手のクレームは、ほとんどないそうです。

きれい好きと言えばそれまでですが、過剰な潔癖症は旅館でも対応しきれません。

要するに、旅館経営者から言えば、日本人は、大してお金を使わないのに、文句が多く、面倒な宿泊客ということです(すべての日本人がそうだと言っている訳ではありません)。

大家族でやってきて、複数の部屋を予約して、1週間くらいゆっくり滞在してくれるような、手のかからない外国人旅行者が、最高のお客様だそうです。

コロナ渦でリモートワークなど働き方改革が始まっている中、日本人はお休みについても改革すべきです。もっと分散して休暇を取得し、需要の平準化に貢献する。また、短期で観光スポットを慌ただしく写真撮影するだけといった旅行スタイルは、長期滞在型に広げていくべきだと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。