アメリカ・民主党の大統領候補、バイデン氏が今週、The Biden Agenda for Women(女性のための行動計画)を発表した。
5つの基本方針に100近い項目がずらりと並び、アメリカ人でも全てに目を通すのに1時間近くかかると言われる超大作だ。
バイデン氏は「辛い現実ではあるが、女性、特に有色女性はこの国でずっと平等なチャンスを得ることができなかった」と認め、アメリカのほぼ全ての問題は結局のところ、女性の問題であるとしている。
行動計画では、
- 女性の経済的保証
- 男女の賃金格差の是正
- 格安でユニバーサルな保育の場の提供
- 女性のための医療の充実と健康格差の是正
- 女性に対する暴力の根絶
などを柱としている。
中でも目を引いたのが、775億ドルもの予算を投じ、高額で知られるアメリカの保育園や幼稚園といったチャイルドケアの無料・ローコスト化を目指すという点。この分野への予算投入を公約に取り入れた大統領候補はバイデン氏が初めてということもあり、国民からは驚きと歓迎の声が上がっている。
一方、保守層が一斉にやり玉に挙げたのは、トランプ大統領が廃止した避妊や中絶を支援する医療団体への助成金の復活だ。家族計画に関する決定は女性の権利であり、バイデン氏の行動計画を支持する声も多い。
しかし、中絶の是非は、古くからアメリカ国内で選挙の争点として争われてきた伝統的な問題であり、今回も、「税金を使って中絶を増やすなどとんでもない」という主張が声高に叫ばれている。
2016年の大統領選では、対立候補が初の女性大統領を目指すヒラリー・クリントン氏だったことも影響して、女性からの得票率は4割にとどまったトランプ。大統領就任後も、過去の女性スキャンダルや女性蔑視のセクハラ発言が何度も物議を醸している。
11月の大統領選でも、女性票の行方が鍵になることは間違いない。トランプ陣営は、バイデン陣営渾身のこの女性支援策を、どう受け止めるか。8月上旬にも、すでに女性の起用を明言しているバイデン氏の副大統領候補が発表される予定だ。