今週のつぶやき:日米株式市場の違い、コロナとマスコミ、米IT4社公聴会

台湾の李登輝元総統がお亡くなりになりました。97歳。歴史に残る人物でした。台湾で初めて民主的方法で選出された総統であり、台湾のあるべき道を常に考えていました。親日家というより自分の少年期は日本人だったと述べ、日台改善にも尽力され、今の台湾との良好な関係の礎を築いたと思います。ご冥福をお祈りいたします。

李登輝元総統(Wikipedia)

では今週のつぶやきです。

日米の株式市場の違い

先週のこの項で「連休明けの日本の市場は厳しいかもしれない」という趣旨のことを申し上げました。蓋を開けてみれば月曜から金曜まで全敗。おまけに金曜は629円もの下げとなりました。厳しいと申し上げた根拠はドル円の為替、コロナの新規感染者増の上に企業の4-6月決算がどんな結果であろうと事前予想との比較ではなく、表面的な赤字幅、減収率に目を奪われてしまう日本の特徴があるからです。

写真AC:編集部

北米市場は決算期の前に各企業の決算予想がアナリストにより出ていますのでそれに対してどうだったかで株価が動きます。例えば4-6月のアメリカGDPが32.9%マイナスと出ましたが事前予想よりやや良かったので市場でこのニュースの反応はあまり出ませんでした。また、決算発表に対する企業側のコメントはどんなに悪くてもよいところを見つけてポジティブに発表します。一方の日本のそれはコロナで大変でした、というネガトーンが覆いかぶさるようになっています。

企業経営者には株価を注視する、ひいては株主の利益を守るという大事な役割があります。会社は誰のものという議論はここではしませんが、株主の利益を守るのは銀行からの借り入れと同じぐらい重要なのです。それに対して「駄目でした」「お詫びします」では意味がないのです。どうやったらよくなるのか徹底的に分析し、四半期決算発表で解を示すことが重要です。そもそもの経営姿勢とプレゼン能力が大きく進んだ世界水準について行ってないように感じます。

コロナ、マスコミと知事

正直、私にはよくわからないし、大多数の方もわからないと思います。専門家ですら意見が割れるこのコロナ、日本だけではなく、当地のテレビでも延々とやっていますが、何かが違う気がするのです。そしてそう思う人が少しずつ増えてきているような気がします。このところの新規感染者の増加はマスコミにとって格好のネタ。各都道府県の発表前の数字を内部情報でつかみ「東京都の今日の新規感染者数は〇〇人台になりそう」と赤字で派手に予告報道しています。これ、おかしくないでしょうか?数字だけが独り歩きしていませんか?

PCR検査の陽性者数と新型コロナの本当の感染者数は一致しません。真の感染者はもっと少ないかもしれません。なので私は統計としては重症者と死亡者数を見ています。確かにこのところ6月頃に比べ若干増えていますが、それでも少ない水準に収まっています。一方、どこの知事も陽性反応の数を受け、躍起になっていて感染予防を呼びかけるのは理解できるのですが、むやみに煽り過ぎている気がするのです。そしてそれ以上に国の声が全然出てこないのです。都道府県の管轄だから、でよいのでしょうか?これは政権のグリップが効いていないように思えます。

東京都YouTubeより

ウィズコロナとは小池知事も発言していましたが、小池知事の日々のマスコミ向けの発言にはウィズを認めたくないという意思が強く込められています。また、知事連中がバラバラに発言し、マスコミはおいしいニュースだけを拾い上げ全国区で放送する、すると他県の人まで奇妙な呪縛にかかるという悪循環と委縮の社会を作り出しました。私はコロナ以上に縮む日本がもっと怖い気がします。

巨大IT4社の公聴会はなんだったのか?

アメリカの巨大IT企業、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)、フェイスブックが下院の司法委員会の公聴会に呼ばれ(実際はオンラインです)5時間以上グリルされたと報じられています。グリルとは「直火で焼く」ですので炙り出して本音を吐かせるという感じでしょう。目的は巨大すぎる企業体系が中小企業のビジネス機会を喪失させていないか、であります。

各社のトップとも非常に練られた上手な回答をしたと思っています。司法委員会は会社分割などを迫っているのですが、司法委員会のポイントずれだと思います。彼らを巨大な私企業と考えていることがそもそものはずれで無数の中小企業の「拠り所」「お助け処」になっている実態を無視していると思います。思い出してほしいのですが、楽天が楽天市場を開設した時、多くの個人事業経営者は楽天に登録を急ぎ、EC店舗の存在で売り上げが急増したと大喜びしませんでしたか?レストランはコロナ対策でインスタ映えする写真をアップしました。多くの個人も事業主もGAFAなしには生きていけないのです。

私は巨大ITはインフラだと思っています。スマホを介したサービス、検索、SNS、Eコマースの基盤です。これらは電気ガス水道などと同じで、なくてはならないものなのです。この観点からあえて規制をするならばインフラのパイプ強化に専念させ、より強固な世界規模のITネットワークを構築する一方、自社ブランドの商品の販売を極力少なくさせるといった対策が正しいと思います。会社分割なんてとんでもない陳腐でビジネスと経済を知らない人の発想です。アメリカなのですからもっと偉大な考え方をするべきでしょう。今回の公聴会は議員側の負けです。

後記

見えなくなった仲間たちを感じています。なるほど親友と友人と知り合いという3段階評価をした場合、コロナ禍でも会うのは親友。友人とはメール、知り合いとは疎遠になるというのが私の経験的流れですが皆さんは如何でしょうか?結局ビジネス仲間だとコロナ禍の経営の出来不出来次第でやっかみもあり、ふるいにかかったような状態です。何やらコロナが人付き合いまで変えてしまいそうで恐ろしいですよね。早く和気あいあいの時代に戻れればと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年8月1日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。