香港の民主活動家、周庭さんが10日夜、香港国家安全維持法に違反したとして香港警察当局に逮捕されたことは、日本の世論にも衝撃を与えた。周庭さん逮捕の直前には、香港で有名なメディア起業家の黎智英氏も拘束され、日本国内のツイッターでは、リベラルから保守まで、日ごろの国内の政治問題で対立を超え“一致”して、中国政府のやりたい放題に怒りを表明した。
自民党では、長島昭久衆議院議員が「周庭さんは、羅冠聴さんや黄之鋒さんらと共に、高校生の時から自らの青春時代の全てを香港の自由と民主主義のために捧げてきた方だ。どれほどの恐怖と大陸からの圧力と闘って来られたか。こんな恐怖政治は21世紀の現代に通用しないということを、我々日本国及び日本人は示さねばならない。」と訴えた。
野党では立憲民主党の枝野幸男代表、共産党の志位和夫委員長がそれぞれ抗議の声明を打ち出した。
右派の論客では、ジャーナリストの門田隆将氏が「もはや国際社会の目も関係なしの中国」と呆れ、「親中派の皆さんは思想の自由もない中国との“太いパイプ”とやらをどうか見せて下さい」と皮肉り、
中国出身の評論家、石平氏は「香港国家安全維持法制定以来の既定路線ではあるが、衝撃と義憤を禁じ得ない。われわれの文明社会としては一致団結して周庭さんらの救助を行い、彼女たちを中共という悪魔の手から救い出さなければならない」と檄を飛ばした。
リベラルの論客では、作家の乙武洋匡氏が「あらためて香港国家安全維持法の恐ろしさと愚かさに身震いしています」とコメント。
冤罪事件など数々の調査報道で知られるジャーナリストの清水潔氏は、周庭さんが連行される現地メディアの動画を引用しながら、「民主主義が破壊されていく。 これは周庭さんや香港だけの問題ではない。民主主義は死守しなければこうなる」と指摘し、ツイートは1万8000を超えるリツイート(11日午前10時30分現在)。
ただ、「日本もだ」などと、安倍政権批判の意を微妙に混ぜたことについては、さすがにネット民から「日本と一緒にしないで」とツッコミが入っていた。
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中国通で知られるジャーナリストの福島香織氏は「周庭さんの逮捕は、外国メディアに対する見せしめ、恫喝?外国メディアの取材を受けると、こうなるという。昼間のジミー・ライらの逮捕と合わせて、外国メディアに対する恫喝なのだろうか。やり方がえげつない」との見方を示していた。
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【追記:12日午前6:15】周庭さんは11日深夜、保釈された。