「他人の人生の批判家」は自分の人生に絶望した人だけがなれる職業である

黒坂岳央(くろさか たけを)です。
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世の中には「他人の人生の批判」ばかりをする人がいる。おっと誤解しないでくれ。オレはする側ではなく、される側だ。雑誌やウェブでビジネス記事を書いていて、それを読んだ人から批判を受けることがある。特にひどいのはヤフコメ欄だろう。良いこと言うな、と感じられるコメントなんて100に1つもない。

写真AC:編集部

オレは自分が書いた記事の「反響度合い」を知るため、ヤフーニュースに掲載されたものをチェックしてる。けど、コメントの内容は見ず、「コメント数」だけを見るようにしてるもん。

(参考・過去記事)文句ばかりいうヤフコメ民は誰で、どこから湧いてくるのか?

記事によっては「かわいそうに。こいつはまともな人生歩んでない」とか、「電通からカネをもらってクソ記事を書いている」とか言われ放題だ。まあ、殺害予告とか営業妨害さえなければ好きに言えばいい。

オレはいろんな批判を見て気づいたことがある。それは「他人の人生の批判家」ってのは、自分の人生に徹底的に絶望した人だけがなれる職業だということ。これは盛大な皮肉に聞こえるかもしれないが、冷静に論考するとあながち間違いでもないと思う。

 日本人が他人の目を気にしすぎる理由

日本人はとかく、人の目を気にしすぎる国民性があると思う。その気質をこじらせると「他人の人生の批判」という行為につながる。これは「ぼくのかんそおぶん」ではなく、ちゃんと根拠がある話だ。

慶應義塾大学大学院の前野 隆司教授が執筆されたビジネス誌では、「日本人はセロトニントランスポーター遺伝子のSS型の持ち主が65%を占めている」と紹介されている。これは端的にいえば、日本人は不安を感じやすい気質の持ち主が多く、やたらと他者評価を気にする気質にあるということを意味する。

他人の目を気にしすぎる気質は、Google検索のサジェストにも現れている。これを見てくれ。

▲「他人に興味がない」のは自分の人生に充実している証拠。治す必要もないし、病気でもないよねw

 だから「日本スゴイ」な番組は、日本における人口ボリュームが大きな層の視聴者にウケる鉄板ネタだし、日本に批判的に聞こえる記事を書くと炎上するのだ。

 充実している人は他人に興味がない

だが、もちろんそうでない人もいる。自信満々で、何かの分野で結果を出し、自分の人生を歩むことに忙しい人だ。そうした人は他人の目なんて気にしないし、そもそも他人の一挙手一投足にまで興味がない。オレの周囲の超肉食系の経営者やフリーランス、投資家は揃いも揃って鬼のような成長意欲と行動力の持ち主だが、誰一人他人の批判なんてしない。まあ当たり前だ。興味がないことをわざわざ話題にする人はいないのだから。

自分の人生を忙しく過ごす人は、あまり他人に興味がない。故に批判もしない。つまり、貴重な時間を使って一生懸命他人の人生を批判する人はこの逆で、自分の人生に充実していない人であり、他者の目が異常に気になる気質の持ち主だということだ。そう考えると気の毒に思えてくる。

 他人の批判家は損をしている

他人をせっせと批判する人を見ると、「なぜこの人達は貴重な時間を使って何もメリットがないことをするのだろうか」と不思議に感じる。その時間を積み上げれば、とても生産的な事ができる。今はクラウドで手軽にサクッと仕事を納品できる時代だから、批判に使う時間でお金を稼いだり、読書をして知識を蓄えることができる。批判より楽しいことは世の中にはいくらでもある。

さらに他人への悪口を書く人は文字通りの意味で、実際に大きな損をしている。脳科学者・中野信子さんは「悪口は脳を攻撃し、脳は主語を理解できないから他人への悪口は自分が聞いている。ストレスホルモンのコルチゾールで脳にダメージを負う」といっている。怖いよな。悪口を言う人とは関わってはいけないのがよく分かる話だし、悪口ばかり言っている人は自分でせっせと脳を傷つけているのだから、今すぐやめたほうが良いと思う。

1ミリも得しない「他人の人生の批判家」という奇矯な職業、なれる条件は「自分の人生に絶望している人」というもの。それがわかったらもう他人の人生の批判なんてせずに、もっと楽しいことをしようぜ。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。