ALS患者と介助者が良好な関係を築くためのALS患者の持論

ALSは運動神経のみが侵される病気です。目も見える、耳も聞こえる、痛い痒いもわかる、思考にも悪影響はありません。つまり、コミュニケーションの受信は完璧に出来ており、頭の中でレスポンスも準備出来るのに、筋肉の衰えにより動けない・喋れない故に発信することが困難なのです。わかっているのに何も出来ないALSは「世界一残酷な病気」と言われることもあるようです。

しかし私の思うALSは決してそんなことはなく、自分の代わりに手足となってくれる介助者さえいればALSは克服出来る病気だと思います。

現在の私の介助者「チーム恩田聖敬」は総勢約30名くらいですが、大前提として一つの共通認識があります。それは「私の意思を一番に尊重すること」です。思考に悪影響がない以上、意思決定は私自ら行うという考え方をわかってくれる方々が私を支え続けてくれています。裏を返せば、私をALS患者としてだけで捉える介助者は、何人も私のもとを去って行きました。今残っている介助者は私を恩田聖敬と捉えてくれています。

恩田聖敬として生きるのは決して楽なことではありません。自分に起きていることの全てを人任せにせず、自分でマネジメントする必要があります。大切なのは不退転の覚悟を持って、障害者でも自分の意思で生きることを示すことです。それが介助者に伝わり、本気で人生を支えてもらう『介助愛』を受け取る極めて有効な術だと思います。自分で全てをマネジメントするのは生半可ことではありませんが、覚悟を持つことは自分次第で出来ることです。健常者の時から私はこの覚悟を持って生きてきました。だから「チーム恩田聖敬」を創ることが出来たのだと思います。

「貴方はALSに選ばれた。選ばれたからには何か成し遂げることがあるはずだ。」

お世話になった障害者の方の言葉です。まずは「チーム恩田聖敬」と一緒に、ALSでも自分らしく生きられることを成し遂げたいと思います!


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ元社長)のブログ「ALSと共に生きる恩田聖敬のブログ」2020年8月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。