市町村別人口増減ランキング:大阪市が自然減1位なのに全体では増1位の怪

豊橋市議の長坂です。

総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」2019年の最新版が公開されました。

写真AC:編集部

日本の人口減、過去最大50万人 最多44道府県でマイナス | 2020/8/5 – 共同通信

元データはこちらです。

豊橋市もランクインしました。

このデータにある、1748市区町村(東京都特別区(東京23区)を含む)の人口増減ランキング、トップ100とワースト50をまとめました。

増減「率」でなく「人数」で順を出しているため、人口の多い自治体ほどプラスにもマイナスにも振れ幅が大きくなりやすいこと、ご留意くださいませ。

まずは、人口増全体のトップ100です。



1位大阪市、2位川崎市、3位福岡市、と並びトップ10は政令市と東京23区です。

その他の市では、13位に流山市、14位に柏市、18位につくば市があります。
首都圏(1都3県)以外では、42位に豊中市、43位に吹田市、46位に福津市があります。

ベスト100まで、都道府県別で見ると、政令市以外は、ほとんどが首都圏(1都3県)です。
(政令市含め、東京34、千葉県12、埼玉県10、神奈川県6、計62)

1都3県以外では、
愛知7(55位安城市、58位長久手市、66位刈谷市、など)、
沖縄7(61位宜野湾市、72位宮古島市、73位浦添市、など)
大阪5(42位豊中市、43位吹田市、76位島本町、など)が目立ちます。

更に、上記の都府県や政令市以外では、
56位東広島市、57位木津川市、64位草津市などが、ベスト100に名を連ねています。

こうして見ると改めて首都圏の人口増が顕著なことがわかります。

続いて、下位50です。


1位長崎市、2位北九州市、3位神戸市、と意外な都市が並びます。

前述したように、規模の大きな自治体ほどプラスもマイナスも大きな数字が出やすいわけですが、この結果が驚きです。

4位以降も、4位新潟市、6位静岡市、11位堺市、12位京都市、19位浜松市など、政令市が続きます。
2・3位の北九州・神戸を含め20位までに7つの政令市が含まれています。
政令市は全国に20しかないため、政令市の3分の1がワースト20ということになります。

近隣の人口増の政令市と併せて見ると、

  • 関西:増1位大阪市⇔減3位神戸市・11位堺市・12位京都市
  • 福岡:増3位福岡市⇔減2位北九州市

という現象が見て取れるような気もします。

一方で、

  • 千葉県においては県庁所在地で政令市の千葉市(増30位)より、流山市(増13位)柏市(増14位)の方が上位、
  • 茨城県でも水戸市(県庁所在地)より、つくば市(増18位)が上位、
  • 広島県でも広島市(県庁所在地&政令市)より、東広島市(増56位)が上位、

更に、

  • 兵庫県では、神戸市が減3位にも関わらず、明石市が増70位、
  • 長崎県では、長崎市が減1位に対し、大村市が増85位、
  • 京都府では、京都市が減12位に対し、京田辺市が増97位、

という現象も起きており、このあたりに、これからの地方都市の学びがあるかもしれません。

更に、自然増減と社会増減に分けて見てみます。
まずは、自然増トップ100から。



1位川崎市、2位港区、3位中央区など全体の上位でも見た地名が並びます。

驚いたのは、トップ10のうち5つが東京23区ということです。
「東京都は出生率が低い」というのが定説ですが、それはあくまで適齢期女性の人数に対しての割合であり、実数は多いのか、あるいは、平均年齢が若く死亡者数が人口比で少ないのか。

また、都道府県別で見ると、全体と比べ、沖縄と愛知の存在感が増します。
トップ100のうち、沖縄県が18、愛知県が17です。
これに対し、1都3県は、東京12、埼玉6、千葉5、神奈川は1(川崎市のみ)です。

続いて、下位50です。


1位大阪市、2位横浜市、3位札幌市、と下位10は全て政令市です。
政令市では出生に課題があるのでしょうか、あるいは死亡数が多いのか。

そして、これまた驚いたことに、全体では上位であった政令市でも、自然減では下位に並びます。
全体の順(カッコ内)と比べると、

  1. 大阪市(増1位)
  2. 横浜市(増5位)
  3. 札幌市(増17位)
  4. 神戸市(減3位)
  5. 京都市(減12位)
  6. 名古屋市(増7位)
  7. 北九州市(減2位)
  8. 新潟市(減4位)
  9. 静岡市(減6位)
  10. 千葉市(増30位)

となっており、自然減下位10市のうち、半分は全体の人口増では上位となっています。
これら自治体は、この自然減を大きく上回る社会増があるということです。

一方、全体でも自然増減でも下位の自治体は、自然減であり社会減でもある自治体です。

最後に、社会増減です(文字が小さくなりすみません)。




1位大阪市、2位横浜市、3位さいたま市、と全体の上位とほとんど同じような自治体が並びます。

都道府県別で見ると、トップ100のうち、東京だけで35と3分の1以上となり、
1都3県では、埼玉13、千葉12、神奈川9、を合わせて69です。
改めて、首都圏への人口移動集中が浮き彫りになります。

続いて、大阪6、愛知6、兵庫3、ここまでで計84。
(地元・豊橋市も75位!)

そして、北海道・宮城・茨城・滋賀・京都・広島・福岡が2、あとは岡山市(岡山)と宮古島市(沖縄)です。

そして、社会増減の下位50です。


1位長崎市、2位横須賀市、3位呉市、と続きます。

政令市では、18位に北九州市があり、
県庁所在地では、1位長崎市、6位青森市、7位高知市、13位鹿児島市、22位那覇市、26位山形市、36位盛岡市、43位福島市、49位新潟市、と47都道府県中9つがあります。

上位100と比べると、より一層に日本中の地方から、首都圏に人口が集中的に移動していることが推察されます。

一方、1都3県や大阪・愛知でも、50位以内に、
11位豊田市、14位寝屋川市、23位河内長野市、37位銚子市、46位成田市、
があります(東京都と埼玉県はなし)。

いかがでしたでしょう。

実は、今回この統計を整理してみた目的は、もうひとつあります。
それはまた後日。

では!