IR汚職事件の背後にちらつく中国共産党の影 --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件を伝える日本の報道は、もっぱら収賄側の容疑者の秋元司衆議院議員の動向に光を当てるだけで、贈賄側の中国企業「500ドットコム」の実態にはほとんど言及がない。500ドットコムは中国の国家重点大学とされる有名な清華大学と、その直営する巨大企業集団に結びついている。だが日本の報道では、その実態を解明しようという試みが行われていないのだ。

一方、米国で発表された調査報告書は、この日本でのIR汚職事件を中国による対日工作とみて、清華大学など中国側の組織に注意を向けている。日本での取り上げられ方とは対照的と言えるだろう。

中国・北京にある清華大学(出所:Wikipedia

500ドットコムと清華大学のつながり

秋元議員は自民党所属のIR担当内閣府副大臣だった2017年9月ごろ、日本のIR事業への参入を目指していた中国企業「500ドットコム」側から約760万円相当の賄賂を受け取ったとして2019年12月に逮捕され、2020年2月に収賄罪で起訴された。賄賂を贈ったとして贈賄罪で起訴されたのは、「500ドットコム」の日本人元顧問の紺野昌彦被告らだった。

続きはJBpressで