東京ベイエリア竹芝にテック・ポップ特区を建設中のCiP協議会は、コロナ後に向けた「新しいコンテンツ戦略へのステートメント」を表明しました。
1.場作り、2.新ビジネスモデル、3.特区、4.ジャンル横断、5.人材育成の5項目からなります。
1.場作り
音楽はじめエンターテインメント文化を培ってきたライブハウス、イベントスペースは多数の店舗が閉鎖を余儀なくされています。そこに集う人々のコミュニティ、文化を保護する必要があります。家賃減免を条件としたオーナーへの固定資産税減免措置、ドネーション分配制度の整備等を提案します。
2.新ビジネスモデル
ライブやイベントの配信、既存コンテンツのオンライン公開が広まったものの、既存のビジネスモデルでは新たな価値を提供できておらず、収益化も実現できていません。オンライン参加やヴァーチャル体験へのデジタル・シフトが急務です。
コンテンツのデジタルトランスフォーメーションを促進し、さらにはグローバルな展開を推し進める、新たなビジネスモデルと新時代のエンターテイメントを創造する必要があります。5Gに代表される超高速大容量のインフラ整備が必要となります。
3.特区
東京オリンピックに向けて世界における日本のプレゼンス向上を目指してきたが、仕切り直しが必要となりました。特に、国際分業が進むアニメなどの映像産業においては制作の中断を余儀なくされています。
欧米では映像産業育成のために税制優遇策が実施されており、特区を用いてCGやVFXの制作会社を集積させています。日本も特区を活用した税制優遇策を実現し、グローバルに競争可能な環境を整備すべき。併せて、海外の優秀な人材を雇用するための規制緩和も実施すべきタイミングです。
4.ジャンル横断
コンテンツ産業はジャンル別にビジネスや海外戦略を展開してきたが、欧米の巨大資本によるプラットフォームと比較し、大きな成果を出しているとは言い難い。ユーザーやファンの巣ごもりに対応すべく、各コンテンツ産業が独自にデジタル配信の拡大に挑戦しているが、業界ごとに慣習も異なり、横断的なコラボレーションが実現していません。
マンガ、アニメ、ゲーム、音楽などを横断的に発信するプラットフォームの構築が必要です。これにより、ユーザの利便性を高め、市場拡大のチャンスを増加させる。各々の産業がデジタル化に対応するために培ったノウハウやマーケティング手法、海外の日本好きファンなどを共有し、著作権処理についても集中管理による解決を目指すべきです。
5.人材育成
コロナにより学校も大きく変わります。社会の変革により、求められる人材像も変容します。グローバルスタンダードな教育システムを実現しましょう。優秀な人材のグローバルでの活躍を支援します。産業界と連携した場の設計や、ベンチャー企業とコンテンツ産業との連携、ファンドによるスタートアップへの出資を促します。
CiP協議会はこのステートメントを政府・知財委員会や自民党政調などに展開しております。
よろしくどうぞ。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2020年9月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。