自民党総裁選(14日投開票)は菅官房長官が最有力な情勢で、菅氏の目玉公約として行政のデジタル化を進める「デジタル庁」構想が注目されている。
ただ、マイナンバーの普及率が2割未満にとどまるなど、日本の行政や社会が先進各国でも「周回遅れ」なのが実情だ。巻き返しは容易ではなく、IT企業の経営者や有識者はここ数日、ツイッターで「デジタル庁」について意見を表明している。
グループウェア大手、サイボウズの青野慶久社長は辛口だ。青野氏は選択的夫婦別姓制度の推進など「社会派」でも知られるが、9日朝のツイートで、
デジタル庁ができたら私(青野)を登用しては? という意見がネットで散見されますが、真っ先に「マイナンバーという金食い虫のクソシステムをゼロベースで見直そう」と言い出しそうなので、推進してきた政治家や大手受託開発企業など既得権益者が猛反対することでしょう。
これまでの政治行政のデジタル政策の負の遺産をどこまで解消できるかを挙げた。
ポータルサイト国内最大手、ヤフージャパンの川邊健太郎社長は9日夜にツイッターを連投した。
「本当にデジタル庁を創るならば、骨子はこうした方がいい、という私案を考えてみました」
提言では、
デジタル庁が各省庁や自治体など公共部門のシステム外注先になってはいけない
バックエンド部分はデジタル庁プロパーのソフトウェアエンジニア達で開発すべき
デジタル化の世界的潮流は民間部門において先行しているので、構成人員は民間人を積極的に登用すべき
などを指摘。これまでの「デジタル敗戦」の要因を踏まえ、役所がどこまで大胆に専門性のある民間人材に任せられるかといった問題提起をした。
また、自民党参議院議員で、創業した弁護士ドットコムの社長を現在も続けている元榮太一郎氏も、
新設するデジタル庁には、IT人材を直接雇用するべき。1000人くらい欲しいです。 なんと霞ヶ関にはプロパーのIT人材がいないのです。
などと官側の人材不足を指摘した。
企業法務の専門家で、金融庁など行政案件も手がけてきた弁護士の野村修也氏は「菅義偉官房長官にとって デジタル庁 構想は氷山の一角」との見方を示し、
各省庁の仕事を機能別に整理すれば、かなりの重複が目立つ。他方で総務省や厚労省等のように、異質な仕事が同じ省で展開され、大臣や次官による掌握が大変な役所もある。霞が関の構造改革は政治生命をかけた戦い。相当の覚悟と力量が必要だ。各省庁の仕事を機能別に整理すれば、かなりの重複が目立つ。
などと事実上の行政改革であることとその困難さを指摘していた。