一泊8万円以上の高級ホテルはしばらく行かない方が良い

内藤 忍

9月末期限のクレジットカードの旅行クーポンがあることを思い出し、慌てて予約して、一泊で旅行に行ってきました。

対象になっているホテルは、リッツカールトンなどの高級ホテルに限定されていたのですが、このようなホテルは、9月末までどこも軒並み満室。

何とか空室を見つけて予約できたホテルは、何と一泊10万円を遥かに超える強気の料金設定でした。普段なら諦めるところですが、クレジットカード会社の5万円を超える優待があったので、せっかくですから予約することにしました。

当日は、3時のチェックインにもかかわらず、遅めに来て欲しいとホテルスタッフに依頼されました。チェックインに宿泊客が集中して、2時間以上待たされるからというのです。

言われた通り、少し遅めの4時過ぎに到着したにも関わらず、フロントで1時間以上待たされ、チェックインできたのは、最終的には5時半近くになっていました。20万円近い宿泊料金の高級ホテルとしてはあり得ないサービスです。

ロビーには、座り切れないくらいの宿泊客が溢れていました。チェックインカウンターは2つしかなく、想定以上の予約客が押し寄せ、オペレーションが混乱しているように見えました。これは、Go Toトラベルで恩恵を受ける高級ホテルの方が顕著のようです。

Go Toトラベルの対象には、まだ東京が含まれていない段階でこの混雑ぶりですから、10月以降の週末の混雑は、これに更に拍車がかかりそうです。

せっかく、のんびり過ごし、リラックスするために旅行に出かけても、このような対応では、むしろストレスが溜まってしまいそうです。そんな訳で、しばらくは、高級ホテルに宿泊するのは、やめた方が良いと思いました。

Go Toトラベルキャンペーンでは、1人4万円、2人なら8万円の宿泊施設が、最も恩恵を受けられます。多くの人は普段宿泊しない8万円以上のホテルを予約して、プチ贅沢をしようと考えるはずです。高級ホテルに普段来ない人たちが押し寄せ、混雑から価格が上がったり、サービスが低下する。

その一方で、格安ホテルなどは、その恩恵をあまり受けられません。今回の施策は、そんな宿泊施設の歪みをもたらすことになりそうです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年9月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。