情報処理技術者の村井宗明です。
「大阪都構想」の住民投票に注目が集まっています。そこで、普段、民間企業がやっている「検索数」「アクセス数」などによるデジタルマーケティングを、大阪都構想の世論の分析にも使ってみます。最近は固定電話がない家庭が多いため、「電話の世論調査だけでは正確に把握できない」といわれるスマホだけの層の調査のための参考資料です。
結論
①検索数などを見る限りでは、関心度は上がっている。
②中立的な人が「大阪都構想」について調べるために検索すると、検索順位の差があるため、SEOで優勢な賛成派のサイトを見る可能性の方が高い。
③Twitterにおいては、反対派も多くの発信をしている。賛成派はユーザーネームに「YES!都構想」をいれて上手にマーケティングをしている。
「大阪都構想」の検索数
大阪都構想に関する検索数は、今年の3月の時点で減少しましたが、6月にピークを迎えて増加傾向にあります。安定して増えるというよりも、かなりのムラがある状態です。これは、その時々にマスコミの大阪都構想の報道量に影響を受けていることが推測されます。
次に、その都構想に関する検索の時のキーワードを、PCの場合とスマホの場合で分けて調べます。
上記のように、PCとスマホで検索キーワードに違いが生じています。
PCの時は、「大阪都構想とは」「メリット」「デメリット」「反対」などの文字が入ることが多いです。一方で「メリット」「賛成」という文字はほとんど入らずに検索されています。この検索をした場合、今の状態では、賛成派の意見だけを見ることになりがちなので、反対意見もみたい方は「反対」などのキーワードもつけて、再度、検索しているのではないかと推測できます。
スマホの時は、「大阪都構想」という文言だけで検索して、他の文字を入れない人が9割です。これは、スマホは文字を入れにくいので、少ない文字数で検索される傾向があるためです。
「大阪都構想」を検索した後の遷移するページ
比較的中立なwikipediaに遷移する事も多いですが、その次に多いのは、賛成派の理由が満載の大阪維新のホームページです。大阪市の検索にかかるページも賛成意見が中心です。
一方で、反対派の自民党大阪府支部連合会のサイトは「大阪都構想」の検索ではヒットしません。19位に反対派の日本共産党のホームページがありますが、全検索者の0.4%しか遷移していません。
つまり、「大阪都構想」と検索した場合、反対派よりも賛成派のサイトに遷移する可能性の方が高いことがわかります。
各政党の大阪支部のHPアクセス数の差
メディアのサイトは必ずしも賛否を明らかにしていないため、各政党の大阪支部のサイトのアクセス数の推移を比較してみたいと思います。
維新‐賛成、自民‐反対、共産‐反対、公明‐賛成、立憲-反対
がそれぞれのスタンスです。
全体の推移において、増減は生じていますが、この数字をすべて合計すると下記の数字になります。
この1年間においては、大阪維新が60%台をキープして最も多いアクセスがあります。2位が共産党、3位が自民党となっています。
最近28日間においても同様な傾向が見られますが、この28日間においては4位、5位の立憲民主党と公明党が逆転しています。
また、youtube動画においても、大阪維新は「大阪都構想学園」というテレビのバラエティー番組風の動画を大量に作るなど極めて優勢にマーケティング戦略を進めていると感じました。
各党アクセスの性別、年代別の分析
それぞれのサイトのアクセスの属性を分析しました。
・性別では、大きな優位差はありませんでした。
・年代別では、共産党に高齢者のアクセスが多かった以外ではほぼ同じ傾向でした。
Twitterでのつぶやきの分析
最近では2000件から4500件ほどの「大阪都構想」というキーワードが入ったつぶやきがあります。これは、この問題に関する関心の高さを示します。ネガな感情での言葉とセットにしたつぶやきが多いので、反対派もTwitterで否定的な言葉を使っている事が分析できます。HPにおいて、劣勢な反対派ですが、Twitter上では盛んに発信をしています。
また、賛成派は自らのアカウント名に「都構想賛成」という文言をつけていることが多いです。Twitterは自由にハンドルネームを変えられるので、下記のように「YES!都構想」というハンドルネームがたくさん見られます。
いわゆる「大阪都構想」をめぐる2度目の住民投票は、10月12日告示、11月1日投票の日程で行われます。
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村井 宗明 情報処理技術者、元衆議院議員、元文部科学大臣政務官。現在は、行政と教育を専門分野とするITエンジニア。https://www.muraimuneaki1.com/