大阪都構想に218億円のコスト増があるなどといった誤った報道に関し、NHKは間違いを認識しながらも訂正報道をしません。
NHKは不偏不党の公共放送として多くの国民からの受診料で運営されています。住民投票を歪めかねないこのような姿勢のままで、今後も国民に対して受診料支払いの理解が得られるのでしょうか。
(参考)朝日新聞訂正記事(リンク先下部) ― 朝日新聞(2020年10月27日更新)
(関連)都構想でNHKが偏向報道? 疑われる公共放送の役割 ― アゴラ(2020年10月28日)
日本維新の会 音喜多議員のツイートの通り、NHKは訂正や謝罪に関する文章もないまま、ひそかにタイトルを訂正しました。その上記事本文にはいまだに「大阪市を4つの特別区に再編した場合」という文章が修正されていません。
端的に説明すると、報道は政令市を分割して4つの政令市を作った場合の額であり、4つの特別区を作った場合はランニングコスト30億円と前提の違う数字となっています。
また基準財政需要額というのはシミュレーションでも試算でもなく、その数字に基づいてコストについて議論するのは荒唐無稽です。これは自分たちに都合の良い数字のみを文脈を無視して誇大広告に用いる、チェリーピッキングという詭弁術です。
そのようなことをする反対派の言説は、信用に値するものでしょうか。
(参考)【ファクトチェック】「コスト218億」の嘘と真実 ― おとな研究所(2020年10月27日)
(参考)大阪における特別区の制度設計 ― 大阪市(2020年10月2日)
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NHKは前出の記事のタイトルを無言で修正しました。これは誤りについて認識していることを示しています。
一方でNHKの続報は誤った形で安易に後追い報道した謝罪と訂正をするでもなく、大坂市の見解を発表するといったものでした。そのうえで自民党議員の「試算がなどが示されない」という言説を紹介していますが、財政シミュレーションは既に公表されております。
このようにすでに公表されているものを「ない」あるいは「認められない」というのも詭弁であり、このようなごまかし論法をあえて掲載するのはNHKの反対派への忖度でしょうか。NHKは不偏不党の公共放送の立場を忘れてしまったのではないかと心配になります。
折しも菅首相はかねてよりNHK改革に前向きでした。新政権発足以来、様々な分野で怒涛の勢いで改革を推し進めていく首相の目に、このようなNHKのありかたはどのように映るでしょうか。
(参考)「菅首相誕生」ならNHKの受信料は必ず下がる 総務相時代のバトルを忘れていない ― デイリー新潮(2020年9月3日)
既に期日前投票が始まっている中、NHKが不偏不党の公共放送であり続けるためには、直ちに間違いの訂正と謝罪を行い、有権者の誤解を濯ぐに足る、十分な時間を費やした報道が必要なのではないでしょうか。