菅さんにとってもバイデン候補の勝利は、吉兆だろう。
アメリカのメディアが一斉にバイデン候補の勝利を報道し、バイデン候補が勝利宣言をしたら、間髪を入れないようにして菅さんがバイデン候補に対して祝意を伝えたというのだから、いかにも菅さんらしい。
トランプ大統領が未だ敗北を認めず、様々な訴訟を提起していつ正式にバイデン候補の勝利が確定するのか危ぶまれている時期に、世界の首脳に先駆けて菅さんが正式に祝意を伝えたのだとしたら大したものである。安倍さんだったら、こうはいかなかったはずである。
言ってみればトランプ大統領に三下り半を突き付けるようなものだから、トランプ大統領との縁切り宣言のように受け止められかねないバイデン候補への祝意の表明は相当憚れたはずである。
日本学術会議の委員任命拒否を巡る問題ですっかり男を下げてしまった菅さんにとって、アメリカの大統領がトランプ氏からバイデン氏に交代するというのは、いわば新しい日米関係構築という重要な課題を与えられたようなものである。
それこそ、過去の柵を取り除いて、一から新しい日米関係を構築しましょう、などと呼び掛けることが出来るのだから、菅さんにとってこれほどいいことはない。
予算委員会の審議もどうやら法案審議に移るようなので、菅さんが答弁に窮するような場面はぐっと少なくなるはずである。
補正予算案の審議もあるから、ひょっとしたら菅さんは守勢から攻勢に回ることが出来るかも知れない。
案の定、菅さんの支持率が7、8パーセント下がったようだが、まだ極端な下げはない。
バイデン候補の勝利は、結果的に、菅内閣にとってプラスに働きそうである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。