2016年の米大統領選直後の11月17日、当時の安倍首相がNYのトランプ・タワーへ赴き、第45代大統領となる人物と会談したのは、ご周知の通りです。
では、2020年の米大統領選後は、誰が最も早くバイデン前副大統領に祝意を表明したのでしょうか?
G7諸国の間で申し上げると、カナダのトルドー首相です。父君は1970年、ニクソン・ショックの2年前に中国との国交樹立を実現しましたよね。
時事通信によれば、現トルドー首相はCNNがバイデン氏の当確を報じた米東部時間7日午前11時24分(日本時間8日午前1時24分)から38分後、ツイッターで祝意を寄せました。
続いて、トランプ氏と緊密な関係を構築してきた英国のジョンソン首相が1時間25分後に祝意を表明。
フランス、イタリア、ドイツそれぞれの首脳もバイデン氏当確報道から2時間余りで続いたといいます。
なお、祝電で英語表記しなかったのは、マクロン仏大統領のみで、フランス独自の文化の香りを感じさせます。
わが日本の菅首相はというと、時差の問題もあり日本時間の11月8日午前6時24分、ツイッターに「ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。日米同盟をさらに強固なものとするために、また、インド太平洋地域及び世界の平和、自由及び繁栄を確保するために、ともに取り組んでいくことを楽しみにしております。」との祝電を投稿しました。
トランプ氏が敗北宣言を発表せず、依然として開票作業が進むなか、G7諸国からの祝電は日本が最後となります。G7諸国から遅れた理由として時差を始め諸々考えられますが、英国のジョンソン首相に無秩序なBREXITへの警告を発したとされたように、まず欧州を向くバイデン氏を無理やり振り向かせるのも、現時点では野暮と判断したのかもしれません。
日米で言えば、電話会談も気になるところ。テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」でおなじみ、日経新聞の滝田編集委員は「菅首相との電話会談についてのバイデン氏側の発表、”日米安保条約5条の下でのコミットメント”とあるが、日本側発表にあった”尖閣”の文字が見当たらない。――対中配慮から伏せ字にしたのか。まさか言ったそばから忘れたわけでは‥。」とツイートしておられました。
ご指摘の通り、原文には「Senkaku」の文字は見当たりません。バイデン氏は副大統領時代の2017年1月、トランプ新政権移行前に安倍首相と「希望の同盟」という関係を確認していましたが、その言葉も消えていました。その一方で「インド太平洋」の言葉は菅首相との会談だけでなく、モリソン豪首相、韓国の文大統領との会談では、いずれも明記してあります。
バイデン氏はオバマ前大統領路線を踏襲すると言われていましたが、日米関係がどこへ向かうのか、さらなるヒントを探していきたいところです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年11月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。