「会社の看板」は早く利用して、こちらから捨てたほうが良い

内藤 忍

 

日本最大の大手広告代理店が、40代以上の正社員230人を業務委託の個人事業主に切り替える制度を開始するというニュースが話題になつています。

正社員という日本型の雇用形態は、企業から見れば大きなリスクになっています。事業環境の変化が大きくなればなるほど、固定費となる社員を抱え込むのは、経営を不安定させる要因なのです。

すでに日本では、企業年金制度が確定給付型から確定拠出型(日本版401k)にシフトし、年金の運用リスクが企業から従業員に転嫁されました。

今後も大きな流れとして、会社側がリスク回避のために、従業員を実質的に切り捨てていくと思います。

であれば、会社で社員として働いている人がやるべき事は、2つです。

1つは会社の看板を可能な限り利用すること

そして

もう1つは、会社に捨てられる前に自分から会社を捨てられる力を身に着けておくことです。

会社の看板があることによる1番大きなメリットは「お金を借りる力」が持てることです。個人事業主になれば、信用力がつくまで借り入れすることができません。会社にいるうちに、お金を借りられるだけ借りておく。「信用力のマネタイズ」をできるだけ早くやっておくことです。

また、会社を捨てられる力をつけるのは、一朝一夕には不可能です。必要なのは、差別化されたスキルと発信力です。他の人にはないスキルを探し出し磨きをかける。そして、それを知ってもらえるような情報発信をすることです。

会社に捨てられてから考えるのではなく、こちらから会社を捨てられるように今すぐ準備する。

最初は思うようにいかないかもしれませんが、試行錯誤の中から新しいアイディアや、人脈が生まれてくる可能性が出てきます。

安定した会社生活を過ごしている人にとっては、船から水に飛び込んで、1人で泳ぐのは恐怖かもしれません。

しかし、恐怖と引き換えに自由を手に入れることができます。大切なのは、変化に怯えて現状しがみつくこうとせず、変化をチャンスと捉えることです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年11月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。