田原総一朗です。
新型コロナウイルスの猛威が収まらない。
フランスやスペインでは、再びロックダウンが行われ、日本国内でも増加傾向にある。
新規感染者は、東京都は200人以上、全国では1000人以上という日もある。
日本は対策がうまくいっているという人もいるが、それは欧米に比べてである。
アジアの中国、台湾、韓国などと比べた場合、人口に対する日本の死亡率は、決して低くはない。
10月31日の「朝まで生テレビ!」では、国会議員からは片山さつき氏、小川淳也氏ら、
経済学者の竹中平蔵氏、森永卓郎氏、また感染症専門の二木芳人氏らと、徹底討論した。
PCR検査、休業補償の問題など、さまざまな点を話し合ったが、痛感したのは、新型コロナウイルス問題で、日本という国のあり方が、あぶりだされたということだ。
竹中平蔵さんは言った。
「台湾、韓国ともに、戦争があるという前提で、国のいろんな仕組みを作っている。個人の自由は大事だけれど、非常事態のときは統制できる。日本はなぜか、戦争がないという前提で作っている」
まさに日本の安全保障に通じる思想である。
ダボス会議で、アメリカ、ヨーロッパ諸国の代表は、ワクチンの話題でもちきりだったという。
第一次世界大戦が、スペイン風邪の大流行によって終わったように、感染症対策というのは、国の運命を左右しかねないのである。
二木先生は、「感染症はかかってから直せばいい、というのは従来の考え方。ワクチンを作るのは今や国防のひとつです。日本は島国だから、どこか『水際でなんとかなる』という甘い考えがあります。でも今回はなんとかならなかったということ」と語った。
SARS、MERSで台湾、韓国は、大きな被害を受けたが、日本はほとんど影響がなかった。
また、2009年の新型インフルエンザ流行の際も然り。
幸い被害が少なかったことが、日本に感染症対策を遅らせたと言ってもいいだろう。
そのため、今回の新型コロナへの対策が、後手後手に回ることになったのだ。
新たな感染症は必ずまたいつかやってくる。
大事なことは、法を整え、体制をつくっておくことである。
そのためには、
「新型コロナ対策について、検証をきちんとすべきです。誰がどういう意思決定をしたのか、間違っていたことは間違っていた、この政策はよかったと、きちんと整理することが必要だ」
と、竹中平蔵さんは言う。
安倍内閣は政策の「検証」どころか、森友や加計学園について、証拠を隠そうとした。
さあ、菅内閣は、きちんと「検証」できるのか。
しっかりと見ていきたい。
感染症対策は国家の安全保障なのだ。
編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2020年11月16日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。