遂に日本経済新聞がマンション投資を取り上げた

12月5日の日本経済新聞朝刊に投資用コンパクトマンションの特集が、マネーのまなびコーナーに1ページ全面で取り上げられていました。「マンション投資の勘所」という記事です(図表も同紙から)。

日本経済新聞から

日本経済新聞といえば、金融資産の情報は豊富ですが、不動産のような実物資産への投資を取り上げる事は稀です。私が知る限り、不動産投資を全ページ特集するのは、初めてだと思います。

金融資産と実物資産をバランスよく投資すべきと考えている私からすれば、今回の記事は、幅広い投資対象を取り上げるエポックメイキングな出来事と言えます。

そんなせっかくの記事に水を差したくはありませんが、今回の内容には投資家目線で、気になる点がいくつかありました。

まず、取り上げている物件は三菱地所、三井不動産といった大手不動産会社の「新築物件」ばかりです。「新築を買ってはいけない」と言うのが、ワンルームマンション投資の鉄則。広告主としての関係もあるのでしょうが、この手の物件は投資対象としてはベストとは言えません。

また、家賃設定の甘さも気になります。紹介されている日本橋大伝馬町の物件は、約25平方メートルのワンルームタイプで販売価格が3670万円。想定家賃が月額13万1千円で「表面利回り」は4.28%と試算しています。さすがに、この広さで13万円を超える家賃は新築でも難しいのではないでしょうか。

さらに、この記事においては、借入については全く触れられていません。国内不動産投資のキモは、賃貸利回りと借入金利の「イールドギャップ」から「信用力のマネタイズ」を実現することです。

日本経済新聞の読者層であれば、お金を借りる力を持っている人は、かなりの比率になると思います。紙面の制約からなのかもしれませんが、借り入れについてもリスクを説明した上で、取り上げるのが親切な内容と言えるでしょう。

もし、日本経済新聞がこれから実物資産の誌面作成を増やしていくのであれば、資産デザイン研究所は全力で応援します!


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。