郊外の一戸建に引っ越しする前に「知っておくべきこと」

コロナ禍で、都心のマンションから郊外の一戸建てに転居する人が増えているそうです。

(写真AC:編集部)

私も数年前まで東京郊外の一戸建てに住んでいましたが、現在は売却して、都心の賃貸マンションに住んでいます。

都心マンションと郊外一戸建ての両方に住んでみて得た結論は、郊外の一戸建ては結構不便だということです。

まず、東京はこの季節になるととても冷え込みます。一戸建ては密閉性の良い建物であっても、マンションよりは寒く快適性に劣ります。これは建物が独立している構造上仕方のないことです。寒さが苦手な人には向いていません。

また、維持にコストと手間がかかります。庭木があれば、夏の草刈りや、秋の落ち葉の掃除などは賃貸でも面倒です。更にマイホームになると、例えば雨どいにゴミが詰まったとか、外壁のメンテナンスとか、何かとかかる費用を積み立ておく必要があります。

一戸建てにはセキュリティーの懸念もあります。外出のたびに戸締りに神経を使いますし、空き巣に入られるリスクも高くなります。特に旅行などで長期間自宅を空ける時は、旅先で不安になることもありました。セコムなどでの対応にも限界があります。

ゴミ捨ても、面倒です。私の住んでいたエリアは、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミなど、決められた日に決められたゴミを決められた時間までに出さなければなりませんでした。都心のマンションは24時間いつでもゴミ捨てをすることができます。地域によっては、「地元の主」のような人がいて、新参者にゴミの捨て方を細かく口出ししたりします。

このように、一戸建てには、実際に生活してみると不便だと思うことが多いのです。

ただし、これはあくまで私の個人的感想であり、家族構成や価値観によっても意見は異なると思います。不便を不便と感じない人もいるでしょうし、私が気にするような事は全く気にならない人もいるでしょう。

ただし、賃貸マンションに住んでいて、これから一戸建てを買おうと考え始めた人は、慎重に考えるようアドバイスしたいと思います。

賃貸なら、将来また都心に戻ることができますが、一旦マイホームを買うと、売却してまた引っ越すというライフスタイルの変更のハードルは高くなります。

一戸建ては売却するのが難しい物件が多く、経年と共に建物価値が劣化して、価格が下落することが多いからです。

もし不動産を所有するなら、利回りが高く安定した賃料収入が見込める投資用物件にする。そして、その家賃収入から自分の家賃を払って、好きな場所に住む方が、お薦めです。

私が実践する不動産所有の具体的方法については、新春のこちらのセミナーでも、お話いたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。