こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
コロナ対応では悪手が目立つとしても、規制改革など菅総理にしかできないことはあろうと期待感は捨てずにおりました。
しかし、これはいけません。本丸である規制改革、しかも岩盤突破が期待されていた農政改革で腰砕けになってしまいました。
民間企業に対してはこれまで、様々な形で規制がかけられて、農地取得が阻まれてきました。
もちろん、企業は利益が出なくなったらすぐ撤退してしまうので耕作放棄が危惧されるとか、色々な理由はあるわけですけども、農業政策が昭和のままで良いはずがありません。
なので2016年から「特区制度」を使って養父市に企業参入の特例を認め、その5年間の実績結果をもって全国展開をするか否かを意思決定するという手法が取られました。
はたして5年が経ち、養父市での企業参入は問題もなく成功。ようやくこの規制緩和は全国展開!と思いきや…
族議員や農林水産省が猛烈に巻き返し、改革を後押しする立場のはずの内閣府や内閣府特命大臣がこれに同調。
しかし河野太郎・規制改革担当大臣や民間有識者たちが「問題がなかったのなら、全国展開をするべきだ!」と強く迫り、激しい論争となった12月の諮問会議では菅総理みずから
「国家戦略特区は全国展開が原則。預からせてほしい」
と引き取りました。この流れは、下記の記事に詳しく詳述されています。
菅内閣は「改革政権」なのか? 農地の企業所有で「バトル再燃」
書類ねじ曲げてでも企業の農地取得阻止、内閣府の規制緩和姿勢が露呈
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当事者の養父市長が「成功」と太鼓判を押し、規制改革がミッションの河野太郎担当大臣が後押し。
既得権者からの巻き返しがあるとはいえ、最後は「引き取った」菅総理が改革を後押ししてくれると誰もが(少なくとも私は)期待しました。
ところが…!
結果は冒頭のニュースの通り、全国展開の見送り決定。
農業は医療と並びだつ「岩盤規制」の代名詞。
これに突破口を開けることは並大抵のことではなく、高い支持率・強い求心力が必要であることは理解しますが、ついに菅総理はそれら改革のイニシアチブを失ったことを自ら認めてしまったのです。
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改革には抵抗がつきものであり、突破するには多大なるエネルギーが必要です。
コロナ対応の不手際連発で、高い支持率で出発した菅総理の政治エネルギーが著しく消耗してしまったことは確かですが、「改革」というのは不思議なもので、やり遂げればやり遂げるほど新たなエネルギーが沸いてくるもの。
逆に
「今は政治エネルギーが少なくなっているから、改革は無難にやめておこう」
と立ち止まってしまえば、たちまちエネルギー源は失われ、その身に再び宿ることはほとんどありません。
菅総理は、コロナ対応で失った政治エネルギーを本命である規制改革でこそ取り戻すべきだったのに、それを自ら手放してしまったのではないでしょうか。
この決断は、政権の命運を占う最後のターニングポイントになったかもしれません。
本件については国会論争でも取り上げ、企業参入などの規制改革全国展開を我々は粘り強く主張してまいります。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2021年1月15日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。