晴海フラッグは「ネガティブなニュース」で益々人気化する

東京オリンピック・パラリンピックの選手村の跡地に建設予定のマンション「晴海フラッグ」が最近また話題です。

今月、マンション購入者のうち24人が、引き渡しが大会延期で遅れたことに対して補償を求め、東京地裁に調停を申し立てています。これに関しての私の見解はこちらのブログに書きました。東京都は、開催延期に伴う選手村の賃料として売り主側に41億8千万円を支払う契約を結んでおり、この一部を購入者に還元しろということらしいです。

また、「晴海フラッグはもう詰んでいる」というタイトルで不動産会社のサイトに不動産評論家が書いた記事(写真)が、サイトから削除され、アクセス出来なくなっていると聞きました。確かにアクセスしても原文はもう読めませんし、どのような経緯で削除されたのか深層はわかりませんが、どうやらマンション購入者から記事に対する批判が殺到しているのが原因のようです。

もし、事情通の方から聞いたように、湾岸マンションを購入したこともない不動産評論家が、価格下落を目論む不動産業者と結託してステルスマーケティングをしているとしたら、とんでもない話です。

それにしても、単なる民間分譲マンションの販売に過ぎないのに、なぜここまでニュースになるのか。それは、言うまでもなく東京オリンピック・パラリンピックの開催に注目が集まっているからです。

これから大会を開催するかしないかが正式に決まれば、それがまた晴海フラッグのニュースになります。

さらに、物件の完成まで、そして引き渡し時にもメディアを賑わせることでしょう。敷地内の商業施設や学校の開業・開校、BRTの本格的な運行など、ニュースのネタには不自由しません。

ポジティブにせよ、ネガティブにせよ、晴海フラッグがニュースになる度に、知名度が上り、湾岸エリアの「ランドマーク物件」になっていきます。六本木ヒルズや広尾ガーデンヒルズのように、マンションに興味のある人なら誰でも知っている物件となっていく。これは、購入者のポジショントークでしょうか?

現状は販売が中断しているようで、分譲予定の4145戸のうち、まだ940戸しか販売されていません。販売再開されたら、どんな状況になるか。これからも目が離せません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年2月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。