どうしたら「幸せ」になることができるのか?

「幸福の追求」というのは、誰もが知りたいテーマの1つです。どうしたら幸せになれるのかは、人によって多少の違いはあるのかもしれませんが、私はベクトルと心の持ちようが大きなファクターになると思っています。

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まず、幸せとは「絶対値」ではなく「ベクトル」で実感すると思います。

新興国のカンボジアに出かけると、いつも感じるのは現地の人たちの明るさです。日本に比べ決して豊かとはいえないカンボジアの人たちの幸福度が高く見えるのは「今日より明日はきっともっと良くなる」という希望があるからだと感じました。

それが証拠に、カンボジアより遥かに経済的に恵まれた日本に帰ってくると、街中でも電車の中でも人々の暗い表情が目立ちます。

カンボジアは急速な経済成長でベクトルが上向き、日本は成熟した少子高齢化社会に突入しベクトルが下向き。だから、現状は日本の方が豊かであっても、幸せを感じにくいのではないでしょうか。

これは経済的な豊かさに限りません。今がどうなのかよりも、これから良くなるという希望を持てるかどうかが、幸せを感じるための重要なファクターになると考えます。

今は病気で入院していても、いずれ治癒すると思えばベクトルは上向きです。体育会の補欠メンバーでも、来年はレギュラーになれると思えばベクトルは上向きです。

そして、未来は今より良くなるかどうかという評価は、客観視できるものもありますが、結局は自分の気持ちの持ちようで変わります。

「事実は1つ、解釈は無限」ですから、客観的に見てベクトルが上向きであったとしても、自分がそれを良くなっていくと主観的に実感できなければ、幸せにはなれないのです。

ベクトルは自分でコントロールできるとは限りません。そうなると、自分自身で幸せになる方法は、心の持ちようを変えることです。

幸福度の高い人に共通するのは、事実の中から良いことにフォーカスして、悪いことをスルーできる力があることです。逆に自分にとってマイナスなことにフォーカスしてしまうと、せっかくの良いことが見えなくなってしまい、幸福になりにくくなってしまいます。

相田みつを氏が言うように「幸せは自分の心が決める」のです。

私自身も、かつてはとても悲観的で幸せを感じにくい体質でした。しかし、心の持ちようを変えることで、少しずつ幸福を感じやすい体質にすることができました。なせ、変わることが出来たのか。それについては、また機会があれば書いてみたいと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年2月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。