今週のつぶやき:総務省の接待問題、みずほ銀行ATM問題など

緊急事態宣言が延長された1都3県。首相は「心よりお詫び」というけれど首相の息子は何かばらまいていたけれど首相がコロナ拡散を止められなかった直接的原因があったわけではなく、詫びる理由はないと思います。首相が下手に出るより、問題は専門家が好き放題言っている点だと思います。尾身会長、「おそらく今年の冬までは感染が広がり、重症者も時々は出る」だから「年内の収束は見込めない」という発言は立場をわきまえて発言すべきと思います。これでは私見なのか、論理性が見えないです。

では今週のつぶやきです。

市場と会話ができないパウエル議長

多分、私の記憶する限りパウエル氏が発言をして市場が好感をもって受け止めたことはほぼなかったと記憶しています。FRBの議長たる立場は市場との会話も重要な仕事の一つです。これだけ鈍感な議長を選んだトランプ氏を私は恨みます。(トランプ氏ご本人も失敗したと思っているはずですが。)今週の株価下落はパウエル氏がWSJの講演で国債の金利上昇に対して何ら方策の指針を示さなかったことにつきます。これが日本の市場にも伝播したわけです。そもそも風邪気味だった株式市場に寒気を呼び込んだ男ということでしょう。月曜日は温かいスープがありそうですが。

ただ、私が年初の予想で申し上げたように一度は浅めの調整が来るとみていたので今回はそのサイクルに入った可能性を否定しません。今日発表の2月度アメリカの雇用統計は事前予想よりよかったのですが、回復したのは飲食などコンベンショナル系の雇用で過去1年の流れと明らかに違う点を認識すべきです。また原油はOPEC+の減産維持が好感されコロナ前の水準を上回っています。私は原油価格マイナスになってすぐに原油関連の株を買いあさったのですが正解となりました。

マネーは水道と見立ててみるとわかりやすいです。グロースと称するハイテク株のサイクルは昨年夏で終わっています。GAFAもテスラもしばらくは相場は来ないけれどGEとかGM、あるいは金融株といった昔の名前の会社の蛇口が知らぬ間に開いているのです。水道の水はどの蛇口に向かうのか、それを見極めないと株式投資では勝てないと思います。

底なしになるぞ、総務省のご接待問題

衆院予算委員会で答弁する総務省・谷脇康彦総務審議官(2月22日、衆議院インターネット審議中継より)

NTTの澤田社長が総務省のご接待をした問題で澤田社長を国会招致することを自民党が容認すると報じられています。澤田社長の指揮のもと、携帯の新プラン「アハモ」がヒット、久々の契約純増となり、またNTTドコモを完全子会社するなど辣腕ぶりが目立ち、このままでいけばNTT完全復活かというところでこけてしまいました。どうされるのか、その去就に注目が集まります。私は何度か申し上げましたよね、接待のような会食なんてどこの会社もやっていますと。だから官僚も何の引け目なくどこにでも行くのです。

一番怖いのは「週刊文春」の好きにさせるな、と二匹目のどじょうを求めるマスコミがスパイまがいの取材をしまくることでしょう。総務省の利権絡みではテレビ局が最大のお客様のはずで官僚とテレビ局、某広告代理店などとの関係がないわけがありません。東北新社もNTTも氷山の一角に過ぎないのですが、驚く点は両社ともトップが接待した点でしょう。私がゼネコンの秘書をしていた際、その手の仕事は業界のしきたりで副社長がやるものと決まっていました。トカゲのしっぽ切りです。社長のポジションリスクを考えないのは愚の骨頂。

ところで東北新社の外国人株主が2割を超えていた点が問題になっています。産経は「外資規制違反で免許取り消し焦点」と報じています。ここで当時、認可を取り消さなかった人物として山田真貴子氏の名前が出てくるとは意外でした。彼女が情報流通行政局長時代の話です。2割を厳密なルールとして管理しているのであれば山田氏は知っていたのではないか、また同様の放送局は他にもあるのではないかという疑惑のデパート、オンパレードとなりそうです。武田総務大臣、携帯値下げのドヤ顔からしばらくは「ケツ吹き」に追われそうですね。

格好悪すぎるみずほ銀行ATM問題

winhorse/iStock

みずほ銀行幹部は一度、神社でお祓いしてもらった方がいいかもしれません。ですが、これは神頼みの前に明らかな人為ミス。管理する能力がなかったのではないかとすればみずほ銀行だけが持つ独自の問題が背景のようにも見えます。同行がおっかなびっくりで2019年夏に立ち上げた新勘定系システムは利用者への不便を何度も重ねながらどうにか稼働、ほっとしていました。これ以上、問題が起きれば頭取の首が飛ぶ、という状況だったからです。

今回の問題は新システムに移行したあと長期間利用がなかった人のデータ更新作業を初めて行ったところ、負荷がかかりすぎてダウンしたというものです。専門家の指摘するなぜ月末でしかも日数の少ない2月だったのか、という点に関し「3月末を意識して作業をしたのではないか」とされています。ということは担当役員はトップあたりから「どうなっているんだ、新システムが稼働してから1年半も経つじゃないか」と東芝と同様の「チャレンジ」を申し渡されていたのではないかと思慮します。

銀行というのは信用第一を売りにする顔を見せていますが、実は産業界でも屈指の体育会系業種であります。ノルマ、回収、顧客開拓で「知恵がなければ靴底を減らせ」と外回りを強要し、数字で成績を公表し、できない行員を叱咤します。ではみずほ銀行だけなぜなのか、といえばこれは想像ですが未だに旧興銀、富士、勧銀の流れが続き、更にみずほとして入行した若手の派閥争奪戦が背景にあるのかもしれません。それにしても日本の「所属意識」とは墓場まで持って行くものなのかもしれません。恐ろしや。

後記

マリーナの顧客との契約は通常1年更新で4月1日がその仕切り。私も2月初めから一人ずつ連絡し、容易くない更新手続きをようやく全部完了しました。年中行事ですが、なかなか骨が折れます。顧客の中には世界的企業のCEOもいるわけでこれだけはスタッフに任せず「社長のお仕事」として完結させています。しかし、このところ、プレジャーボートの売れ行きがすさまじかったようで金持ちは海でCOVIDから隔離というトレンドが明白でした。ちなみに私はボートには無縁でございます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年3月6日の記事より転載させていただきました。

 

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。