菅総理大臣、コロナ対策5つの具体的提言を進呈します

拝啓 菅総理大臣殿。コロナ対策への5つの具体的提言を進呈します

大阪はもう収束基調にはいってきたように見えますがどうでしょう。

1 陽性率の急激な低下

昨日は7.2%、一昨日は7.5%、ピークは9.7-15.3%

2 発症ピークは3月末から4月頭のようです

まだこれは変動しますが、東京の正月のピークアウトと同じような挙動

3 実効再生産低下

4 くわえて西村先生の「このままでは」発言! 4/7 www

特に4が決定的でいままで西浦先生が「このままではXXになる」といった瞬間にピークアウトするという実績を第3波からまた更新した模様です。これは冗談として、変異株はパッと燃えてパッと収まるのはイギリスが証明しています。

大阪はほぼイギリス変異株に置き換わりましたが、東京はまだ20%程度なので微増ですが、置き換わりが始まると急激に拡大して小池さんがヒステリーを起こし、オリンピックが危ぶまれますがすぐにパッと収まりそうですが非科学的な首長たちによってGWにまたまた観光業は打撃を受けるでしょう。

▲国立病院機構東京医療センターのワクチン接種会場を視察する菅首相(2021年2月18日、首相官邸公式サイトから)

それはさておき、今日は本質的かつ、具体的なコロナ対策について官邸に提言したいと思います。

官邸に危機管理システムの構築のプロを入れる

たとえば企業なら、何か問題を解決したいときにはその道のプロをコンサルタントとして招聘します。たとえば社内のどうしようもない基幹システムを再構築しようと考えたら、アクセンチュアあたりのコンサルティングファームからコンサルタントを入れて、全体の構想を設計してもらい、システム開発会社に統括して管理・発注して貰うわけです。

しかしコロナでは、この全体のシステムを設計する人が皆無です。学者は概論や基本は言えるが実務はからっきしだめなことも分かりました。昔ながらの理論から離れられず、実態を把握できない。たとえば飲食店の時短も、頑張る飲み屋は昼も開けるから、暇な高齢者が押しかけて昼から飲んだくれているのが日本中で見受けられますが、そうした現場の想像もできません。費用対効率のよい具体的な施策も思いつけません。8割抑えるみたいな抽象論だけです。そしてなにより、

成果の検証をまったくしない

のには驚きました。これは考えたら当たり前で、ビジネスマンではないので「費用対効果」「効率」「自殺」「失業率」「社会損失」などのワードは彼らの脳内にははじめからありませんでした。
で、「決めるのは政治家」という謎の言葉が尾身先生から出てくるわけですが、政治家も実はど素人です。彼らは選挙のブロではあるが、システムの構築なんてできません。危機管理の素人が作った具体策を素人が採用するか決める、みたいな地獄が繰り広げられているのがいまの日本です。

感染拡大を抑えるには人の流れを抑えるって・・・


まったく相関関係ない非科学的なことを主張するのも素人だからです。互いの交わりが薄い旅行や通勤では感染はそれほど転がらないのは明白なのです。

たとえば、電力会社の社長が「原発(高齢者施設)にテロリスト(ウイルス)の侵入を許さないようにしよう」と考えたとします。しかしそのプランを考えているのが原子物理学者だったり、プラントの設計者だったり、はたまた修理作業員なのである。できるわけないでしょう。

出てきた具体策が「テロリストがそもそも発生しないように若者の思想教育を強化し、家に閉じ込めておけば良い」というものである。原発のセキュリティを上げる話が、国民全員の思想教育という根本的で効果の薄い現実性に乏しい、しかも効率とコスパが最悪の施策になっているのだ。

こういうケースでは、危機管理システムの構築を専門とするプロをコンサルティングファームから来てもらい、データや統計を精査した上で医者だけでなく現場の声を良く聞き「効率が良く」「スピーディで」「しっかりと効果が出ると予測できる」システムを設計して貰います。これがプロの仕事です。わたしにも無理ですがこういうプロはビジネス界にはゴロゴロいます。トヨタのカイゼンなど品質管理を徹底して行い、不良品率を極限まで下げた実績の方などが適任です。原発にテロリストを入れない仕組みを作った方などは、入退館チェックや行動解析、導線の分化などまさに適任です。

官邸におきましては、ぜひともこうしたプロにはいってもらい、死者の6割を占める高齢者施設の対策をどうするかを設計して貰って下さい。死者が6割減れば医療崩壊はありません。ましてや大阪、東京、旭川のように高齢者施設から送られた認知症の患者によって院内感染が爆発することもなくなるでしょう。
官邸におきましては、一刻も早くこうした危機管理と問題解決のプロのコンサルタントを招聘して頂きたいです。

意味の無い飲食店の時短をやめ、高齢者の入店制限に切り換える

飲食店の時短ほど馬鹿げたものはありません。まず時短することでどれくらい感染が抑えられるのか、まったく試算されていない。試算というのは教授の頭の中で都合良く作られたものではなく、時短をした地域としていない地域の比較から、時短した場合の効果の予測とそれに伴う経済被害試算との対比を行わなくてはならない。

時短の意味が無い根拠は前述の通り
●昼間も営業するようになり、現役はいけないが、代わりに昼飲みをするハイリスクの高齢者で賑わっている。
●時短の補償金と飲食店の経済被害で救える命がひとりあたりいくらかかるのか試算さえされていない。

わたしが↑のコンサルタントなら、こんなものは放置せずしっかりと検証を行い実質的な効果を算出します。とりあえずやることはやるという感覚でコスパと効率の悪い施策を打つより、このコストを確実に効果の出る施策に投入します。

リスクの高い高齢者が昼飲みや昼カラでクラスターを炸裂させているのは大きな問題で、大阪の70代の関係路不明比率は現役と全く変わりません。


これが大阪だけが重症者が異様に多い一因と推測できます。しかも大阪市は感染者がどこの地区なのか差別につながるからと発表しません。普通に考えると高齢者が昼間っから飲んでるのはあのへんだと分かるでしょう。重症者のほとんどは高齢者のはずですが、そのうちの経路不明の比率を吉村さんが出してくれることを期待します。それがあれば高齢者に自粛を呼びかけられます。

打ち出す施策は「酒を伴う飲食店への高齢者の入場規制」です。何も永遠にというわけではない。感染拡大期だけです。飲食店側に身分証を確認してもらい、70代以上は入店させないだけでOKです。


まん防で十分可能なのではないですか。「入場者へ感染防止のための措置の周知と、それを行わない人やハイリスクの人の入場禁止など」に修正するだけ。

若者から高齢者にうつす」という認識の払拭

これは非常に重要です。
なぜ昼カラで高齢者のクラスターが起きるのかといえば、高齢者は若者からしかうつらないと思っているからです。


そもそもこのアホ理論はエビデンスもなにもなく、「若者の方が高齢者より感染者数が多いから回り回って高齢者にうつすに決まってる」という先入観に過ぎない。高齢者施設にウイルスが入るまで何回も経由してたまたま侵入するのであれば、高齢者同士で感染して家に持ち帰って家族に感染させるケースの方が遥かに多いかもしれないのに何も試算しない。


これは大阪の第4波だが、仮に若者から高齢者にうつすのなら高齢者の感染の増加は若者より数週間遅れるはずが見事にシンクロしている。つまり高齢者は高齢者同士で感染しているのが明白ではないか。

東京の例でいうと、経路が分かっている場合では


高齢者の感染経路は施設がダントツで次が家庭内。ところが高齢者との同居率は大阪府が2.5%(ワースト4位)に対し、東京都は1.8%(同1位)。そもそも他人にうつすのは5人に1人でそもそも高齢者ほどウイルスを出す。若者から高齢者にうつすのがどれだけレアケースか普通に考えたらわかる。

高齢者は単身または高齢者同士の世帯がもっとも多いのだから、高齢者同士で感染していると考えるのが常識。高齢者の感染ルートを精査すればわかるのに全くせずに感覚だけで「若者が高齢者にうつす」と断言してきた医療専門家の責任である。これをしっかりと修正する。でないと、若者さえいなければ平気と出歩く高齢者を止められない。

若者からうつすと言うのが間違いであったとは専門家会議も言えないだろうから、「若者はもちろん高齢者からはもっとうつる」とした方が良いと思います。これで高齢者同士で出歩くことはなくなります。データは入手していませんが若者の感染ルートはほとんど若者。高齢者の感染ルートは半数以上が高齢者という話は聞きました。

高齢者施設の感染をとにかく抑え込む

この仕組み作りは1のプロの方が中心となって設計して頂きたいが、高齢者施設への感染を止めるのは根本的には簡単である。

高齢者施設に感染者を入れなければいいだけ

だからです。原発のテロを防ぐのと同じです。
ではどうするのかといえば、「通勤してくるひと」と「来訪者」のその都度検査です。PCR検査だと時間がかかるので簡易抗原検査だと10分で結果が出るのでこれを義務づける。
抗原検査は精度が低いという思い込みがある人が多いが、いまはもうそんなことはない。これは国立感染症研究所の資料


確かに感度80%代では偽陰性が出るので危険があるが(それでもしない方がマシ)いまは感度100%のものもある。唾液で15分で結果が出るので、結果が出るまでは屋外で待機して貰えば良い。問題は費用で調べたら安くても2500円とかなのだが、京大の宮沢先生に訊いたら原価550円で作れるのだそうだ。
厚労省は認可がないものは嫌がるから、これ、日本政府が作っちゃって認可して高齢者施設に配布したらいいじゃないですか。アベノマスク方式ですよ。業務用だから説明書もパッケージも要りません。「スガノケンサ」とか仮に名前付けます。

日本にある高齢者施設はみんなの介護によると

ざっと6万くらいです。大小あるが平均して一施設が月に50万円分(1000回分)使うとして1ヶ月300億円。アベノマスクとかわりません。これで高齢者施設を封じ込めると死者数は60%減少するため、医療費分と社会のダメージで十分おつりが来ます。厚労省と専門家会議に本当にやる気があるならこれをしろといいたい。でも具体的にどうしていいかわからないのなら、1の危機管理のプロにお願いしましょう。

ところが肝心の施設側では


検査自体を嫌がるらしい。意識が低すぎる。これでうちはきちんと管理してますとか信じられない。クラスターが多発している大阪と兵庫が特に低い。なのでここは義務づけしかありません。

高齢者施設のワクチン接種を最優先に

このエントリーにも書きました。

【スクープ!!】先進国で日本だけが高齢者より医療従事者のワクチン接種を優先した。ごり押ししたのは新型コロナウイルス感染症政策分科会

日本だけが医療従事者を高齢者施設より優先した。そして今も65歳以上の健康な人も含めて高齢者だ。世界では85歳以上から接種するケースが大半です。65歳とかどうでもいいから先に高齢者施設で接種して下さい。これはもう必須です。

わたしが考える対策はこの5つです。採用していただければコロナの死者は6~8割以上減少し、医療崩壊はなくなります。ゼロコロナではなく、医療に余裕を持たせてしっかりと治療する体制になるでしょう。

そもそもコンサルティングファームってなんやって言う人はこちら


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2021年4月12日の記事より転載させていただきました。