池江璃花子選手に五輪辞退を求めるのは間違っている

競泳女子で東京五輪代表の池江璃花子さんが5月7日、SNSを更新した。池江さんのSNSに五輪代表の辞退を求めるようなメッセージが届いていることについて次のように触れたのだ。

「いつも応援ありがとうございます。インスタグラムのダイレクトメッセージ、ツイッターのリプライに『辞退してほしい』『反対に声を上げてほしい』などのコメントが寄せられていることを知りました。もちろん、私たちアスリートはオリンピックに出るため、ずっと頑張ってきました。ですが、今このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然のことだと思っています。私も、他の選手もきっとオリンピックがあってもなくても、決まったことを受け入れ、やるならもちろん全力で、ないなら次に向けて、頑張るだけだと思っています」

このコメントに対し、川上浩一(国立遺伝学研究所教授)は、「池江さんのtweetを見ました。亡くなられた方にお悔やみも言えないのか?と思いました。」とツイートする。

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また、弁護士の渡辺輝人(日本労働弁護団常任幹事)は「池江璃花子は、電通傘下のマネジメント会社に所属してるんだね。五輪出場辞退を求める意見に対して、あんな上手な口上を本人が考えたのは凄いな、と思っていたのだが、そうではないようだ。」と池江さんと電通(五輪と一心同体の関係にあると言われる)の関係を指摘する声が出ている。

ネットを見ると、主に、リベラル・左派系の人々から池江さんのコメントへの反発が出ているように思う。

しかし、池江さんに五輪代表辞退を求める声をはじめとするこれらのコメントは、池江さんに対し、大変失礼であり、思いやりのない声である。また、電通との関係を指摘する事は「陰謀論」的でさえある。

東京五輪を開催するべきが否か、様々な意見があるのは当然の事であるし、個人が意見を主張するのは良い。だが当事者とも言うべき、選手に辞退を求める事がどれほど酷なことか、想像が及ばないのであろうか。

ましてや、池江さんは19年2月に白血病に見舞われ、闘病生活に耐えて、復帰の道を歩んできた人である。その事を察せず辞退を求めるとは、情がないと言わざるを得ない。

いくら自分が五輪開催に反対とは言え、池江璃花子さんはじめとする選手に五輪辞退を求めるのは間違っているのである。