コロナワクチン遅れ:「打ち手」垣根をこえた協力を

高齢者に対する新型コロナワクチン接種が始まっていますが、身近では「なかなか予約が取れない」という声が多く聞かれます。

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厚労省は先週からワクチンの供給量をそれまでの10倍にしており、6月末までに高齢者・医療従事者あわせて4000万人が二回接種を完了させられる分量が確保される見通しになっています。

しかし実際には5月初旬から1日30万件程度の接種実績が続いており、直近で大幅な伸びはありません。ワクチン供給体制にそぐわない接種の遅れは、現場にボトルネックがあるとみられます。

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海外のデータを見ると人口の50%前後の接種が終わると新規感染者数が顕著に少なくなることが分かっており、低い接種率のままでは社会的意義が薄いととらえることもできます。

予定されているワクチン供給量としては人口の3割以上に該当し、今後も追加の供給があると考えると、政府の意図は7月末までにある程度収束させたいというところでしょう。

しかし1日30万人の接種体制だと、国民の半数が打ち終わるのに半年近くかかる計算になってしまいます。新型コロナウィルスによる混乱を早期に収束させるためには、倍かそれ以上の接種体制が必要です。

既に接種体制の拡大が鈍化している中、かねてから指摘されてきた通り、ワクチンの「打ち手」の確保が今後の課題になるとみられます。

【ワクチンと感染者】2021/4/22 ワクチン接種率と人口あたりの新型コロナウイルス新規感染者数の推移【世界・国別】

現在は各医療機関での接種が行われていますが、今後接種体制を倍増させるためには、大規模な臨時接種会場の設置などが必要になってくると考えられます。これらは各都道府県で企画が始まっていますが、未だに具体的な形にはなっていません。

ここで活躍できるのが歯科医師や薬剤師・看護士などの、垣根をこえた「打ち手」の確保だと思います。大規模会場であれば万が一の重篤な副反応に対しても、打ち手と救命スタッフの分業が可能。筋肉注射を行うことだけに集中できるのであれば、解剖学の予備知識があれば医師以外でもある程度のレクチャーで十分実施できるでしょう。

既に歯科医師会は必要な法整備が整ったことを確認し、ワクチン接種に協力していくことを表明しました。

No.128 歯科医師によるワクチン接種について|プレスリリース|日本歯科医師会

しかしここで複数の歯科医師から、「ワクチン接種に協力したいけど、歯科医師会会員になっていないため参加への道が途絶えている」という声が聞こえてきました。

有志自身で各方面に問い合わせをしてみたところ、「会員以外の接種参加は未定」と空振りに終わるという事でした。

歯科医師の35%は様々な理由で歯科医師会に入会していませんが、そんな人たちの中にも自分の資格を活かして社会貢献をしたいという方が大勢おられます。

ワクチン接種への協力に二の足を踏む歯科医師も多くいる中、国難にあたって会員・非会員の垣根を超えた協力が、国民が我々有資格者に対して期待していることではないでしょうか。

非会員は名簿などもないため連絡方法は限られますが、HPなどで告知して志願のあった非会員に関しては接種体制の拡大に構築するなど、門戸を開いて呼びかけるのが良いのではないでしょうか。

一緒に働く中で生まれる絆が、今後の地域社会での医療連携の輪につながることもあると思います。