今の日本は「緊急事態」ではない

現在、多くの都道府県に緊急事態宣言が発令されている。しかし、日本は緊急事態ではないと思うのだ。そのことを、感染者数や死亡者数ではなく、日常生活から明らかにしてみたい。まず、公園。所用からの帰宅途中に公園をチラリと見たが、そこには、数十人の子供が(中にはマスクを付けずに)無邪気にはしゃいで遊んでいる。傍には保護者と思われる女性たちが談笑している。2020年以前の「日常」と違うのは、ただ、人がマスクをしていることだけだ。

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ある幼稚園。ここでは、大半の子供たちがマスクを付けずに、走り回ったり、近寄って遊んでいる。

ある喫煙所。大勢の男女がマスクを外し、時に談笑している。

ある飲食店。感染症対策をしている店もあるが、結構な数の店が「不十分な感染症対策」のまま営業している。

ある朝の通勤時間帯。大勢の人が、満員電車のなかに詰め込まれていく。

日本医師会の会長。自民党議員の政治資金パーティーに参加している。ついでに女性と「寿司デート」をしたという。

政治家たち。政治資金パーティーを開く者もいる。

これが緊急事態であろうか。緊急事態とは名ばかりではないか。凄まじい数の人が亡くなっているわけではない、多くの人が恐怖にかられて引きこもっているわけでもない。他人の目を恐れるかのようにマスクをしている人々が目立つだけである。

緊急事態宣言発令の要因とも言われる医療提供体制のひっ迫度も、政治家も医師会もいつまで言っているのだろうか。まず、本当にひっ迫しているのか?ひっ迫しているのはなぜなのか?ひっ迫を解消するために行政や医師会は何をしてきたのか?なぜ長時間かけても解消しないのか?

その原因や根本を突き詰めて考えて、素早く具体的な行動に移していかないと、日本は経済的にダメな国に成り下がる一方である。医療提供体制が危ないならば、改善に向けて動かない政府の責任であろう。政府の対応が「緊急事態」なのである。

日本医師会の会長は「これまで具体的な目標は提示されず決定打も無いままに延長されようとしている」と政府の対応を批判したというが、政府への批判ではなく、医師会はこれまで何をしてきたのか。問題の解決に向けてどう動いてきたかを知りたいところである。とにかく、政府はいつまで「緊急事態」と言っているのであろうか?